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今日は気温が下がると言っていた天気予報通り寒くて、夜から降り始めた雨に会社を出る頃には更に寒さを感じた
今日はとにかく早く帰って温かいお風呂に入ろうと足早に歩いて、アパートに着けば今日もいた信虎くんが
「A!おかえり!!」
いつもと変わらない格好に寒くて震えていた
『ちょ、寒くないの!?』
「寒い!」
『なんで上着来て来ないのよ』
カタカタと震える彼に呆れて、ポケットに入っているカイロを出そうとすれば
『ひゃっ』
彼の冷たい手が私の両頬を包んでその冷たさに思わず声が出てしまった
「あったかい、」
『手冷たすぎ!』
すぐにカイロを渡して、そうだと首に巻いていたマフラーにしては少し薄手のそれを取ると彼に巻いた
『これ貸してあげるから』
「あったかい。Aの匂いがする」
『匂いとか嗅がなくていいから』
まるで子供の面倒をみる母親だ
『外で待ってるの寒かったでしょ。来なくていいんだからね?』
「だって会いたいから」
『はいはい。ほらもう仕事行きな。建物の中でちゃんと温まるんだよ』
信虎くんの体を押せば歩き出した彼
『ちゃんと温かくするんだからね!』
「わかった。いってきます」
『はい、いってらっしゃい』
振られた手に手を振り返して、お母さんってこんな気分なのかなとそんなことを思っていた
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