【魔女フィリア】1 ページ12
xxとして生を受けてから、どれ程この運命を恨んだことか。
どれ程怒りたいと願い、どれ程泣きたいと願ったことか。
どんなに願い、恨もうとも、運命は変わらず私を苦しめる。
無表情の魔女は今日も首を切る。
村外れの古小屋を出て太陽の光を浴びる。眩しさに思わず目を細めるも直ぐに慣れ、鳥の囀りに耳を傾ける。
何て心地好いのだろうとその美声に酔いしれる暇も無く、また何時もの奴等が来る。
「一体誰が外に出て良いと言ったんだ。
皆お前のせいで怯えながら暮らしてるんじゃぞ、この化け物め」
「お前が居なければ俺の妹は死なずに済んだんだ」
「魔物を呼び災いを呼び寄せる悪魔め」
老婆や男共は私を見る度に口々にそう言う。
当たり前だろう、私が、xxがいる村というだけで若い女衆は皆殺しにされたのだから。
私は何時もの様に、何時もと同じ言葉を返す。
「生きているだけでもありがたいと思いなさい。
貴方達の言う死んだ者のお陰で、この村に結界が出来たのだから」
村の周りには死んだ女達を埋めており、それを贄として陣を展開、結界に護られた聖域を造り出したのだ。
本来なら僧侶や賢者が儀式をして完成させるものだが、どうやらxxにはそんな長いものは必要でないらしく、贄となった女達の祈りもあってか直ぐに強固なものが出来た。
結界の無い村なんて、最初から魔物のいい標的だったのだ。今まで男連中だけで守れたのが奇跡、村人全滅が当たり前だったというのに。
知ってか知らずか、頭の弱い男は直ぐにこうして感情的に動く。ほら、もう少しで来る。
固いものが頭に当たり、鈍い音と共に血が数滴滴る。
このパターンは何度目だろうと冷めた眼で額の血を雑に拭って、そのまま小川の方へ歩いていく。
近づけば怯えて離れていく奴等だ。気にせずそのまま前に進んでいけば案の定、道が開いた。
「どうして私が………なのかしら」
掌程もある大きな丸い水晶を空に透かす。
明度の濃い青をしたそれは、白い光を浴びて優しく煌めいた。
「同情が欲しい訳じゃないのよ、カミサマ」
川で顔を洗ってから、小屋へと戻る。
先程の連中はいなくなっていた。
「こんな世界、滅んでも良いと思わない?」
鳥に語りかけるも、返ってきたのは美しい音色だけだった。
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雪埜(プロフ) - 【更新】「魔女フィリア2」更新しました。3ヵ月もの間、たったこれだけの話の為に空けてしまい申し訳ありません。本編はもう少しさくっといくはずです。できれば、終わりまで見守ってくだされば幸いです (2016年6月29日 2時) (レス) id: a49cc21bc2 (このIDを非表示/違反報告)
雪埜(プロフ) - 【更新】「魔女フィリア1」更新しました。長らくお待たせしました。この章はあともう1〜2話程で終わりの予定なので、かなり短いです。その中でフィリアについてどれ程伝えられるかどうか。努力します (2016年3月29日 1時) (レス) id: 2e4e16571f (このIDを非表示/違反報告)
雪埜(プロフ) - 【更新】「レエンカルナの姉妹4」更新しました。短いですがこの姉妹の話はこれで完結です。文字数の都合で詰め詰めな部分が多いですが、わからない部分は後々補填していくので待っていて下さると幸いです。次の話で序章も終わり、本編へと突入です。 (2016年2月2日 2時) (レス) id: 2e4e16571f (このIDを非表示/違反報告)
雪埜(プロフ) - 【更新】「レエンカルナの姉妹3」更新しました。もうこの話も終盤、次の章が見えてきました。これだけ蒔いた伏線ですが回収しきれるかは微妙なところです。頑張ります。 (2016年1月11日 20時) (レス) id: 2e4e16571f (このIDを非表示/違反報告)
雪埜(プロフ) - 【更新】「レエンカルナの姉妹2」更新しました。三月程経ちましたがようやく更新できました。もう少しで此方も終わりそうなのでお待ちくださると幸いです。設定は生えるもの。こんな予定なかった… (2015年11月30日 22時) (レス) id: fc245ecc04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しのみや | 作成日時:2014年12月31日 4時