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夢から覚めたときには既に雪ちゃんはいなかった

夢の中でも言えばよかったかな、なんてひとつの後悔








だんだんハッキリしてきた視界





さっきまで、警察署にいて





そうだ、あのバケモノ…





じゃあ、ここは?









ガタン____









『 なに、これ 』









ひとつの椅子に、座らせられている

否…括り付けられている、のほうが的確かもしれない





それに気づかなかったわたしは椅子ごと前に倒れた

なんとか戻ろうと踏ん張るが縄が想像以上にキツい









それからジリジリと壁に寄る度に、擦れる顎が痛い

足まで固定されている為歩くことすら、ままならない








やっと壁に付いたとき、何処からか扉が開く音がする

その足音は頭の真横までやって来て、ピタっと止まる









「 お疲れさん、でもごめんな?これで元通り 」









椅子を掴んだのか、体が宙に浮いてまた中心に戻る

体制が真っ直ぐになったわけではなく、転けたままだ




それに優しく下ろすのではなく、数cm浮いた場所から落としたのだ

この声の持ち主が先程の男では無いことが確かだ









「 んふふ笑 ほら、さっきみたいにしてよ 」

『 は…? 』





「 うーん…躾がなってないんやな?じゃ、教えてあげんと 」





「 主人の命令には絶対、はいやって 」

『 いや、やめて、 』





「 聞こえんかった?絶対やって 」









男が一步ずつ離れていって、それにジリジリと近寄る

既に顎の痛みも恥ずかしさも、体力も、限界を迎えていた









「 うわー…みて、床に赤のライン付いてる、って見えんか 」

『 はやく、おこして 』





「 なんでお前が命令してんねん、くださいやろ 」








『 起こして、くださ、い 』








「 んふふ笑 やーだ♡ 」









体中に電気が走るように、頭が痛いと叫ぶ

男が容赦なく踏みつけたのはわたしの頭だった









「 さ、起きたとこやし…うらさん呼んでこよーっと 」




「 …逃げたらぶっ殺すよ 」









耳元で吐かれたそれに、体がびくっと震えた

もちろん恐怖心からの驚きだったが、普通じゃない








わたしは少しでも顎の痛みが減るように横を向いた

…が、床に塗られた血は精神的に苦痛を味わう

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作者名:蓮。 | 作成日時:2021年10月19日 15時

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