其ノ漆 愛華にしか頼めないこと ページ7
愛華「私にしか頼めないこと……?」
アル「あぁ」
愛華「なんでですか?」
アル「主がそう言った」
愛華「主って月さん……?」
アル「他に誰がいる」
そう言われましても……
愛華「で、でも私も月さんもアルさんも初対面なのに、なんで急に」
アル「素質があるからだ」
愛華「素質?」
アル「巫女のな」
愛華「巫女……?」
巫女って神社にいる巫女さん……?
他にいないよね?
アル「見えているだろう」
愛華「!」
私を突き刺すような鋭い瞳で私を見つめるアルさん
アル「霊や妖怪という、他人には見えないものが」
確かに見えている。
でも、それがなんで巫女さんになるのだろう
それになぜアルさんが私の事を知っていて、霊が見えることを知っているのかは分からないけど、なんとなく、アルさん達と会ったのは初めてじゃない気がして、むしろずっと一緒にいた気がして
心を許してしまう
アル「あの人の血を引いてるはずなんだ」
愛華「あの、人?」
アル「気にしないでくれ」
鋭い瞳は変わらないけど、その奥から、悲しさが見え隠れしているような気がした
悲しいけれどその悲しさを表に出さないように、そんな感じがした
アル「兎に角、人面犬の事は頼んだ。まだ、部活には入っていないだろう?」
愛華「えっ、はい」
部活に入部できるのは1週間先だ。入部見学は明日から始まる
アル「今日、人面犬が現れる確率は百だ」
愛華「百!?」
今日探せってこと!?
アル「今日から調理部が入部見学者用の菓子を作り始める。その余り物やらの廃棄物を漁るつもりなのだろう。今までの目撃証言があった日と調理部の廃棄物が出る日はかさなっているからな」
え、何?アルさんって探偵とか?
愛華「は、はあ……?」
アル「頼むぞ……愛華殿」
私の名を呼ぶ前に誰か他の人の名前がアルさんの頭の中に出ているような気がした
少し、私の名を呼ぶのを戸惑ったように
愛華「はい……頑張ってみます。あの……」
アル「なんだ?」
愛華「私、幼馴染みがいるんですけど……」
アル「海斗殿と啓太殿だな」
愛華「知ってるんですか!?」
アル「あぁ」
愛華「私と同じように見える事も……?」
アル「知っている」
愛華「じゃあ海斗と啓太も……」
アル「それは駄目だ」
愛華「え」
アル「啓太殿も海斗殿も、私達から後々言う。今は、言うべき時ではないのだ」
愛華「言うべき時?」
アル「いつか分かる。では、困った事があったら呼んでくれ」
そう言ってアルさんは、私の前から煙の様に消える
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作者名:ムーンナイト-moonnight- | 作成日時:2018年1月21日 0時