其ノ弐拾仇 料理長 ページ29
キラ「明日は朝から昼頃まで剣術の修行、昼から夕方までは巫女修行に励んでもらいます。明後日は和楽器と舞に御座います」
愛華「えっ！？ハードすぎ！」
キラ「ハードもソフトも御座いません。これは愛華様のためでも御座います」
こ、怖い……
クウ「あはは！キラ〜愛華ちゃん怖がってるよ〜？」
キラ「そ、それは失礼致しました！」
愛華「大丈夫です……」
カル「お堅い話はもう終わりにしよーぜーそろそろ肝心の料理もできた頃だろうし？」
キラ「そうですね。御時間を取らせてしまい、申し訳御座いません」
愛華「いえ。説明ありがとうございます」
結局、何をすればいいかは分かったけど、何をするかは分からなかった
台所からリンちゃんが出てきて、ワゴンを引いていた
カル「待ってましたーっリンの料理〜」
愛華「え？」
リン「今日の献立はー、鯛のハンバーグにご飯とお味噌汁、蕗のサラダで〜す！」
混乱した私を差し置いて、他のみんなは盛り上がっている
キル「どーした？」
愛華「いや……リンちゃんがこれ作ったんですか？」
リン「そーだよ」
キル「リンはウチの料理長だからな」
愛華「こ……」
リン「こ？(こんな"小さな子"がとか言わないよね……)」
愛華「こんな……」
リン「……」
愛華「こんな料理作れるなんてすごいね！？」
リン「え……」
愛華「美味しそ〜旬の食材も使ってるし、彩りも綺麗。すごい！やっぱり見た目で全てを決めるものじゃないね！」
リン「そ、そお……？そんな褒められたの初めて……」
カル「おー。リンの料理と見た目で最初に褒め言葉出たのツッキー以外に初めて見たわ」
クウ「僕も〜」
リン「アンタらあるじと愛華ちゃん見習いなよ！」
カル･クウ「めんどくさ〜い」
リン「ふざけんな！」
愛華･キル･キラ「頂きます」
リン「どうぞ」
対応の差がすごいな
と思いつつも目の前の料理に目を煌めかせ、口の中に入れると、溶けていく様な滑らかさと、焼き目部分が舌の上で残り、後味まで楽しませてくれる鯛のハンバーグ
愛華「お……美味しい……」
感動のあまり語彙力が何処かへ消えた
キル「料理長って言うぐらいだからな。ま、リンは2番目だけどな」
愛華「これで！？」
キル「一人だけ、食べたら確実に涙が零れ、飯一つで妖怪達を虜にしたそれはもう恐ろしい妖怪がいる」
愛華「それは……？」
キル「ウチの大将。若様だ」
愛華「若さ……月！？」
キル「そうだ」
愛華「顔、スタイル、性格も良いのに料理までできるの！？」
それは恐ろしいわ……
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作者名：ムーンナイト-moonnight- | 作成日時：2018年1月21日 0時
