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28 Spoof girl and strength boy. ページ28

「むかしむかし、大きな海にも、
小さな海にも、海という海に、
人魚という不思議なものがいました……。」
おうじさまと出会ったあたりで、
ヴァリテとマリはいつも眠ってしまう。
その安心しきった顔を見ていると、
つい頭を撫でたくなるが、
そうするとヴァリテはいつも起きてしまう。
そういうところはおおかみさん似だ。
マリは、頭を撫でても下手くそな
寝たふりを続けるに違いない。
これは……どっちに似てるんだろう。

私は読みかけの絵本を閉じると、
ふたりを起こさないように、
そっとベッドを抜け出した。

谷は、しんと静まっている。
蛍が、ほろほろと光を放ちながら飛んでいる。

「おおかみさん、やっぱり、
上手くいきそうにない?」
うーん、と、おおかみさんは唸った。
「このままでは、
戦争は避けられないだろうな……。」
私は、思わず息を飲んだ。
人間でなくなったからこそ、
得られた幸せ。
魔物だからこそ、
抱えなくてはならない悲しみ。
それを今、私は痛感している。

戦争の相手は、ケーニさん。
いや、ケーニさんの治める、森。
どうして?
聞いても、おおかみさんは答えてくれない。
ただ、俺のせいだよ。と、答えるだけ。

「ねえ、どうすれば、戦争は起こらないの?」
「それが分かれば、
俺たちはここにいないさ、ルナード。」
おおかみさんは、泣きそうな顔の私を、
優しく撫でた。
この戦争で、一体誰がいなくなるのだろう。
何がなくなるのだろう。
私のお腹の中の新しい命は?
どうなるの。

「ルナード。お腹の子は……さ。
俺たちとは関係のない名前をつけよう。」
「え……。」
おおかみさんは、優しいから。
きっとそれが非難されようと、
構わないのかも、しれない。
「それじゃ、この子は……
私たちの子じゃなくなっちゃう!」
「そんなことは分かってる!
それでも……俺はその子を守りたいんだ!」
おおかみさんは、そういうと、
頭を抱えて、声を圧し殺して泣いていた。

どうしてって、喚いてても。
きっとどうにもならない。
名前は私たちじゃなくても、
血は、繋がっているから。
お願い。
私たちだけは死なないで。
そう願う私は、魔物だろうか。

29 e.g.→←27 Just kidding. ……Not!


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設定タグ:シリアス , ペケーニョ・デレーチョシリーズ , アップルパイ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:クインテット | 作成日時:2016年7月7日 22時

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