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10 Come on. ページ10

「そうか。」
俺はルナードの決断を無下にはしたくない。
ただ、ルナードは泣いていた。
どうしてだ?

そうか。分かった。

ルナードの青い瞳に、瓶を振りかぶった司祭が逆さに映りこんでいる。

「お前が選んだんだ。俺は何も言わない。
それじゃあ、な。」
知ってたか?ルナード。
大体の人間は、それじゃあって言った後、
またねって言うんだ。

「さあ、行こう。ーー。」
人間は、ルナードを連れて人混みに消えた。
司祭もいつの間にかいなくなっていた。

必ず奪い去る。

俺の頭にあるのはそれだけだ。
館に一度戻り、荷物を置いて、
ルナードのくまのぬいぐるみを持つ。
魔物だからって、俺は無力だ。
夜は待たないと来てくれはしない。

あの日と同じような、血が沸き立つ夜。
だが、今日は訳が違う。

玄関を蹴破ると、件の人間が、
青白い顔をして、果物ナイフを持っている。
四肢がガタガタと震え、心許ない。
その後ろには、ルナードがいる。
大丈夫だからな。

「来ると思っていたぞ!
さあ、大人しく帰るんだな!」
父親と思しき男が、涙を流しながら叫んだ。
「断る。」
もう迷わない。
お前のいない昼は、何とも無慈悲なことか。
ひとりで見る夕焼けは、
なんと味気ないことか。
俺は制止を無視して、
一歩ずつルナードに歩み寄った。

ダーン!

大きな爆発音が、耳をつんざいた。
ついでに、腹が焼けそうに痛い。
銀の銃弾で撃ち抜かれたらしい。
司祭か。

「やめろよ。ルナードが怖がるだろ。」

口や腹から溢れでる血など、
初めからどうでもいい。
こっちの方が、怖がるかもしれないけど。

「帰ろう。」
俺はルナードに呼び掛けた。
ルナードは何かを察したのか、
俺と司祭の間に立ちふさがった。

何やってるんだ。逆だよ。ルナード。
俺がお前を助けに来たんだ。
狼を守るお姫様なんざ、聞いたことないぞ。

「何をしているんだ。
魔物に心を食われたのか。
いや、お前なんざ、
そもそも魔物だったよな……。」
父親は、ルナードの首にナイフを突き立てた。
その体は赤く燃え、
その手は今度は興奮により細かく震えている。
身勝手な。

「心なんて、食べてもうまくないだろ。」
俺はそう言うと、ルナードを抱えて、逃げた。

11 I wont to sleep of forever.→←9 I defend you.


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設定タグ:シリアス , ペケーニョ・デレーチョシリーズ , アップルパイ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:クインテット | 作成日時:2016年7月7日 22時

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