Fall. (ページ11)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:3,995 hit

11　I wont to sleep of forever. ページ11

「大丈夫か？」
俺は傷を癒しながら、ルナードに話しかけた。
お前なんざ、そもそも魔物だった……。
自分の親にそんなことを言われていたのか？
なんで泣いてるんだ？
ルナードは無理やり頷いた。

「そうか。ほら、これ、お前のだろ。」
持ってきたくまのぬいぐるみを渡すと、
少し落ち着いた。
やっぱり、女の子だな……。

街を見ると、夜のくせに明るい。
あれは、火だ。
火で辺りを照らしている。
俺達を探しているのだろう。
館に戻ると危険かもしれない。
だが、荷物はあそこにある。
もう街に行けない以上、
あれは取りに行った方がいい。
悩んだ挙げ句、俺は館に戻ることにした。
ルナードに合わせてゆっくり歩く。
おぶっていこうかと思ったが、
お互いに体力を消耗するため、やめておいた。
まだこの山に人間は来ていないようだ。
館につくと、荷物をまとめた。

ふと、
ルナードが顔をしかめていることに気づいた。
どうやら、靴擦れしたらしい。
怪我の手当てをしていると、
人間の声が聞こえた。

息を潜めると、会話が聞こえてきた。
「どうして降ろし子を
探さなきゃならないんだ？
明日は仕入れで朝早いのに……。」
「あの爺さんは魔物に
街の娘を連れ去られたんじゃ困るんだろうよ。
それに、降ろし子の伝説ってのは……。
おや、いかにも怪しいな、この館……。」

降ろし子？
ルナードはその言葉を聞くと、ひどく怯えた。
成程、そうだったのか。

二人。人間が館に足を踏み入れた。
元は廃屋だ。
床が軋む音で、大体どの辺にいるか分かる。

「良く良く考えると、
ここは"魔女の館"じゃないか……。」
一人の人間がそう呟くと、
二人とも怯えたようで、逃げ帰っていった。
臆病者め。

「行ったか。」
俺はルナードを抱きかかえ、荷物を背負うと、足早に館を立ち去った。

人間の気配が濃くなる。
さっきの二人が呼んだのだろう。
司祭の匂いもする。

何処へ行こう？
人間界のことは、良く知らないのだ……。

「この国以外なら、どこでもいいか。」
しかし、ルナードは首を振った。
どうしてだろうか。
まあ、ルナードが嫌がることはしたくない。

「分かった。じゃあ、お前を人間に返そう。」