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天火―…あんな人でも緊張くらいは。((かなたん様リク) ページ44

制服のリボンをきゅっと握りしめ


誰もいない教室で荷物を背負う


黒板には「卒業」と大きく書かれていて、みんなで楽しく書いた記憶がよみがえる


なんか、少し悲しいなぁなんて。



「おー!Aまだいたか!」


「・・・天火、どうしたの。忘れ物?」


「ちょっとなー」



にぃ、と歯を見せて無邪気に笑う天火。


入学から、その笑顔だけは変わっていない。



「いやぁ、今日で卒業だぞ」


「もう卒業式終わったよ」


「ん、そうだったな」



何言ってんのって笑うと、天火は顔を赤くした


・・・それにつられて、私も笑顔が固まり


多分、赤くなってる



「うわ、黒板グッチャグチャ」


「みんな好きなように書いてたからねー」



話をそらすように、言われて黒板を眺めると


天火が隣に来た



「皆と言えば、クラスの奴らがカラオケとか行くみたいな話してたじゃねえか。御前行かねえの?」


「私は仲いい人あんまりいないし。別にいいよ」


「ふぅん」


「そう言う天火こそ、いかないの?皆、待ってるんじゃない?」


「俺はそれより大事な用があっから」



何故か自慢げにそう言うと、私の手を引いて



「ちょっと来いよ」



黒板の前まで連れてくる


そして、隅っこの方の開いてるスペースにピンクのチョークで傘みたいなのをかいた


ぼけっとしている私を、傘の前までまた引っ張ると



「俺の目、見ろ」


「え、あ・・・」



綺麗な目。


静かな教室に、私の心臓の音が響きそうだ



「・・・」



天火は深呼吸をして


私の手を両手で包んだ



「・・・ずっと、好きだった。付き合ってくれ」



いつもとは違う、静かな声でそう言われた


あまりの事に、私は一テンポ遅れて反応する



「・・え、そ、それって・・・」


「こ、こく・・・告白・・・だけど」



その声を聞いて、耳まで真っ赤になる



「駄目、か?」



少し不安げな顔。


いつもは見れない。


・・・そんな天火に爆発しそうなくらいドキドキしながら



「えと、わ、私でよければ」



そう返した。


途端、がばっと勢い良く抱きしめられる



「・・・良かった」



安堵の声。

固まっていたのであろう天火の体は、力だ抜けたように重くなった



静かな静かな教室の隅。


天火の描いた相合傘の下で、静かに抱きしめあった。

白子―…名前だけ。((牛尾菜様リク)→←白子・安倍―…良しも悪いも破壊的。((來斗様リク)



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crrrr - 何度も読ませて頂いておりましたが、数年経ってまた読みたくなりまた読ませて頂いています。大好きです! (2022年7月10日 2時) (レス) @page1 id: 960a6975c5 (このIDを非表示/違反報告)
RINN - 次は激ピンクの作品が読みたいです! (2018年10月7日 7時) (レス) id: b532f9f747 (このIDを非表示/違反報告)
にょんすけ - いえいえ〜、全然大丈夫ですよ!むしろよかったです^_^ニヤニヤしながら読んでましたwwリクエスト答えてくれてありがとうございました! (2014年11月9日 23時) (レス) id: 91ca37a4af (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - にょんすけさん» 作成させていただきましたが、なんか甘やかしているって感じが出てないかもしれません…!すいません (2014年11月9日 21時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - にょんすけさん» いえいえ、こちらこそすいません。了解です!書かせていただきます! (2014年11月9日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年7月31日 10時

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