君の名前を呼べない【赤司征十郎】

24 PM 3:23 ページ38

主将さんに覇気がないことに
気づいた2人。
主将さんに近づくと

「どうしたんだ？」

と声をかけていた。

「福井……ついに紫原に彼女ができたらしい…。」

「はっ！？マジで！？」

「紫原に出来て、何でオレにはできないのじゃ…？」

「そんなの、ケツアゴリラだからに決まってるアル！自覚ないとか、それこそ問題アル！」

「そうだな。一番の要因はそれだ。あとは…あれだ。動物園から脱走してきたゴリラなんか誰も好かないだろ。」

「2人ともひどい！」


主将さんを囲み
そう主将さんを弄っているのは
福井健介さん、PGと劉偉さん、SF 。


…それよりも、何なのだろう。この高校。
キャラが濃い。濃すぎる。
洛山も濃いなーとか思ってたけれど
それを遥かに越えて濃い気がする。

『…何だか個性的な人が多いですね。』

「…そうだね。」

思わずそう口から零れた私に
辰也さんも主将さんを囲む2人を見て
苦笑いを浮かべていた。

というか、どうしよう。
みんな完全に信じちゃってるよ。

「Aちゃん。」

不意に辰也さんから名前を呼ばれる。

『はい？』

「ちょっと待っててね。」

そう言うと

「主将。」

と未だに項垂れている主将さんに
辰也さんは声をかけた。

何をするの…？

「…なんじゃあ？氷室…お前の慰めは要らんぞ…。余計に惨めにな―「誤解ですよ。」は？どういうことだ？」

ようやく聞く耳を持った主将さん。

そして福井さんと劉さんも辰也さんの
方を向くと

「どういうことだ？」

と問いかけていた。

辰也さんは紫原くんに向き合うと

「敦、主語を抜かしちゃダメだよ。」

と諌めた後

「それで、Aちゃんの彼氏は誰なの？」

と再び問いかけた。

「赤ちん〜。」

「「「なんだよ！！」」」

紫原くんの答えに3人の先輩方(特に主将さん)は
安堵の表情を浮かべた。

…それも違うんだけどな。
だけど、そう訂正する気力もない。
もう、帰ろうかな…。

『紫原くん、帰るね。今日はありがとう。』

そう言うと紫原くんは

「え〜？もう帰るの〜？」

と少しだけ寂しそうな表情を見せてくれた。

『うん…あの、突然押し掛けてすみませんでした。よろしかったらこれ…みなさんで分けてください。』

最後に主将さんに京都のお土産を渡すと
「何て良い子なんじゃ！」
と涙ながら受け取ってくれて。

「その子、彼氏いるのにときめいているケツアゴリラ、キモいアル。」

最後に劉さんにそう言われて再び主将さんが
消沈していたのは言うまでもない。

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