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「…ねぇ、本当に此処から飛び降りるの?正気なの?」
「正気正気、死にやしないよ」
「信じるよ、信じるからね!?」
蔦を手に持ち、滝の上で構える。下を見れば雷門の選手達が、辺りを探るように見渡している。
シュウ曰く、此処から彼等がいる位置まで飛び降りるんだとか。生命の危機を感じる。せめてお昼ご飯を食べたかった人生だった。
「ほら、僕達がいないから騙されたんだとか言われてるよ?誤解解かなきゃ」
「知らないよそんなのッ!下で待ってればいいじゃん、下で!」
「はいどーん」
「うわあああ!?」
落とされた。と考える暇もなかった。視界が眩む、声が出ない、後ろで楽しそうなシュウの声がするような。吐く、シンプルに。
「ほらA、蔦変えて!」
「ひいい、もうヤダよこんなの!」
回転とかしてみたら?なんて呑気なことを言ってられる精神が分からない。こちとらもうあの世に行きかけだってのに。
「はい着地!」
「もうシュウの言う事信じないよ私」
雷門に森の使い方を教える、じゃない、こんな風に普通森は使いません。笑顔で話しかけないで下さい。
「来たね。待ってたよ、天馬!」
「いなかったから焦ったよ!…五月雨さん、大丈夫…?」
「うん、Aは見かけ通りタフだから大丈夫だよ!」
「見かけ通りって何さ見かけ通りって!…吐きそう」
フラフラする、足元が覚束ない。松風とシュウはまるで私が存在しないかのように話を再開している。…いや、シュウが無理矢理そうしたのかも知れないけど。
「僕はこの島で育ったんだ。だから島の地形のことはよく知ってる。
今やったみたいにここの自然と遊んでいれば、きっと君達も出来る様になるよ。…ね、A」
「死にかけるのでやらないことを勧めます…ごめんて」
やっと安定してきた視界に最初に映ったのは、余計なことを言うなとばかりの恐ろしいシュウの顔。歯向かうんじゃなかった。
「どうして、君達がそこまで…?エンシャントダークの他の選手も、そうやって鍛えたのか?」
神童が尋ねると、シュウは彼に笑顔を向けた。
「そうだね、ある意味、そうなるかな。僕がキャプテンだからね」
…全然答えになってない、という言葉は心の奥底に封印した。
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作者名:わらびもち | 作成日時:2020年8月18日 23時