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い _ V ページ5

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それから、一夜が明けた。

Aはマフィアの仮眠室で夜を明かした。寝心地はまあまあらしい。


「狂犬、私は何をすれば良い」



Aは昨夜、芥川に教えてもらった芥川の執務室を訪れていた。



「貴様の情報を教えろ、何処で産まれ、何処で生きたか」



芥川は履歴書らしき物をAに渡した。

今までの経歴や生年月日など、個人情報を書き込むには楽な書類だ。



「判った」

Aは渡された紙に自身の事を書き記す。



そして、数分後Aは書類を芥川に渡した。



「経歴の項目にも確り書け」



書類には名前、年齢、生年月日、育ちの場しか書いてなかった。



「お前と同じだ。息をするだけで自分の無力さを感じ、路上で倒れてるだけで蔑んだ眼で見られ、夜になると自分が明日生きれるかだけを考える日々。それに加えてこの異能だ、碌な生き方をしていない。それをお前は書けってのか?」



Aの言葉に芥川は黙り込んだ。

自身の過去と重ね、Aの苦労や痛さを芥川は十分理解できた。



「…なら良い」


「そう」



芥川とAは境遇が似ていた。

互いに互いの辛さが判りあえる、それがどれだけ幸福な事か。



「貴様の異能を詳しく教えてもらおう、吐け」

芥川は先刻の気持ちを吹き飛ばし、Aにギロリと眼をくれた。



異能で脅しても良かったが、Aには通用しない。



「云っただろう、私の異能は『一日に一回 人を殺す』異能だ」

Aは云う。


「戯言を云うな、本当の異能を云え」

芥川は光のない眼でAを見る。


「お前、私を疑っているのか?今日の『対象者』はお前でも良いぞ」

Aは平然とした顔で云う。


「僕は死なぬ」



芥川も負けていなかった。



「何も協力に支障はないだろう、だから私の異能は『一日に一回 人を殺す』異能で良いではないか」


「支障はないが、信頼が掛ける」


「ただの『塵処理』として協力している私を信頼したいか?」



強者だ、芥川は思った。



「狂犬、私は死ぬ為に生きている。それ以上でもそれ以下でもない。私の異能が『一日に一回 人を殺す』だとしても、だ」



Aはそう云い、今日やる『塵処理』の『対象者』の書類を芥川から()(さら)って部屋を出て行った。


芥川は独り、Aの姿を過去の自分に重ねた。




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け _ VI→←は _ IV



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田中りん(プロフ) - おかえりなさいです!!このシリーズ面白くて大好きです!帰って来てくれて好きです!うれしいです! (2021年3月13日 12時) (レス) id: 59051e49c3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - このシリーズいつも見てます。とっても面白いです更新頑張ってください (2020年5月21日 16時) (レス) id: 569fd15754 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月18日 13時

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