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「だざ、い、さん?」



呼べば、強くなる彼の手の力

太宰さんは私の手首を押し付けて、明らかな意志のある瞳を落としてきた




「私、お酒は強いって云ったよね?」




耳もとで、低い低い声が、息を吹き込むように

私の意識と関係なく肩が否応なしに揺れて、心臓は痛いし体中に熱が駆け巡るし、変な声が出そうになったのはぐっと堪えた



「男の家には簡単に上がり込むなって、前にも教えてあげたのに」

「っ……あの、その」

「これでも逃げるチャンスは与えたのだよ? そうだね、例えば君に " 二度目 " に頭を撫でてもらった時とか」



莫迦だ、伏線なんてたくさんあった

お店で彼の頭を撫でた時、確かあの時太宰さんは『もう一回』って

ほらおかしい、私が内緒で頭を撫でたこと、寝てた筈の太宰さんがどうして知ってるの?

この帰り道、妙に足取りがしっかりしてたのも、私を翻弄する受け答えの止む様子がなかったのも、全部彼の計算のうち

太宰さんの仄めかすヒントに、ちっとも気付かなかった莫迦は私



「訳も告げないで私を避けた好きな子を、黙って我慢するほど私は優しくないから」

「そ、れは、ごめんなさい」

「私が怒ってないと思った? 一緒に飲みに行けば、許してもらえるとでも思ったかい?」



思った訳ではないけれど、こんなことになるとも思ってなくて

相変わらず鼓膜を直接揺らす妖しい声に、何も背けられずに目を濡らす

ふと、それを拭う、太宰さんの手

片手が自由になったって、逃げ場なんてどこにも見つからなかった





「___好きだって云ってるだろ」




太宰さんの崩れた口調

普段聞かないそれに動揺が波打つ

その後少し顔を離した彼は、私の視線を絡め取ってぴったり交差させた



「なのに何で避けたの、私が嫌い?」

「それは違います!」

「じゃあ何で」



太宰さんは、いつもそう

勝ち目のない私をじわじわ追い詰める

縛ったりなんて出来ない筈の視線は__本当、どうやってるのか__決して外させないし

お店を出る前、酔い醒ましにと一気飲みしたあの冷水のお陰で、私は何もかもお酒の所為には出来ないのだから



「私が狸寝入りしてたって、もう判ってるよね?」



つまり、あの独り言は

全て太宰さん本人に聞かれていた


「ほらもう一度、ちゃんと云ってごらん」


甘い囁きに誘われる




「そしたら私が、キスしてあげるから」




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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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