検索窓
今日:13 hit、昨日:50 hit、合計:817,867 hit

47 ページ47

·




太宰さんを見つめ返して

涙でぐちゃぐちゃになろうとも、胸の音が太宰さんに聞こえてしまおうとも

息を大きく吸って、確かな声で



「太宰さんが、好きです」



刹那、約束通り落とされる口付け

募る想いを滲ませ何度も角度を変えながら、まるで雨のように降り注いだ




「私も好き、大好きだよAちゃん、……やっと私に振り向いてくれたね」




吐息の合間、耳に届く太宰さんの言葉に胸が鳴る

雨上がりのような視界の中で、大好きな人の、大好きな笑顔が輝いて見えた



「私の恋人になってくれるかい」

「___はい、喜んで」




*




「最初からこの部屋は、社員寮が建て直されるまでの、云わば仮住まいだったのだよ」

「そう、だったんですか」



色々あった所為でふらふらになった私が、太宰さんからことのあらましを聞くのは、彼の腕の中、膝の間にてのことだった

太宰さんが出て行った後には、ここにはすぐ別の人が住むらしい




「太宰さんじゃない、別の人……」




それって、かなり悲しいかも、しれない

そんな気持ちが隠せていなかったらしく、ハッと気が付けば、太宰さんが嬉しそうな瞳をしていて

それを見ていると、何だか私の心にも、明るい気持ちが移ってきた




「この部屋を出て行くまでに、君を落とすつもりだったのだけど」




太宰さんの綺麗なその手が、いつか私がしたように私の頭を静やかに触れて、愛おしそうな手つきが心地好く私をあやす



「ごめんね、最後まで優しくは居られなかった」



そんな所作とは裏腹な言葉



「良いじゃないですか、私はちゃんと、太宰さんに落とされましたし」



云った私を、太宰さんは丸くした目で見た

私を落としに掛かってきたのはそっちなのに、不思議な反応をするものだ

というか、謝らなきゃいけないのは私の方で



「私の方こそごめんなさい」



なかなか素直になれなくて、と

すると、私の謝罪に太宰さんは笑顔になって、太宰さんと私との距離がもっと縮まったりして




「それは良いけれど、お陰で君を独り占めしたくて仕方ないから覚悟し給え」




望むところだ、悪いけど、幸せになる覚悟ならもう出来ている

大好きな人と同じ気持ちで居られる奇跡、手放すつもりはこれっぽっちだってない



「そうだ、引っ越しの日を少し遅らせようか」



急な提案は私に迫る

選択肢は一つしか用意されてないけれど




「君が付いて来てくれるなら、ね?」




·

**→←46



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (780 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1380人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。