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太宰さんを見つめ返して
涙でぐちゃぐちゃになろうとも、胸の音が太宰さんに聞こえてしまおうとも
息を大きく吸って、確かな声で
「太宰さんが、好きです」
刹那、約束通り落とされる口付け
募る想いを滲ませ何度も角度を変えながら、まるで雨のように降り注いだ
「私も好き、大好きだよAちゃん、……やっと私に振り向いてくれたね」
吐息の合間、耳に届く太宰さんの言葉に胸が鳴る
雨上がりのような視界の中で、大好きな人の、大好きな笑顔が輝いて見えた
「私の恋人になってくれるかい」
「___はい、喜んで」
*
「最初からこの部屋は、社員寮が建て直されるまでの、云わば仮住まいだったのだよ」
「そう、だったんですか」
色々あった所為でふらふらになった私が、太宰さんからことのあらましを聞くのは、彼の腕の中、膝の間にてのことだった
太宰さんが出て行った後には、ここにはすぐ別の人が住むらしい
「太宰さんじゃない、別の人……」
それって、かなり悲しいかも、しれない
そんな気持ちが隠せていなかったらしく、ハッと気が付けば、太宰さんが嬉しそうな瞳をしていて
それを見ていると、何だか私の心にも、明るい気持ちが移ってきた
「この部屋を出て行くまでに、君を落とすつもりだったのだけど」
太宰さんの綺麗なその手が、いつか私がしたように私の頭を静やかに触れて、愛おしそうな手つきが心地好く私をあやす
「ごめんね、最後まで優しくは居られなかった」
そんな所作とは裏腹な言葉
「良いじゃないですか、私はちゃんと、太宰さんに落とされましたし」
云った私を、太宰さんは丸くした目で見た
私を落としに掛かってきたのはそっちなのに、不思議な反応をするものだ
というか、謝らなきゃいけないのは私の方で
「私の方こそごめんなさい」
なかなか素直になれなくて、と
すると、私の謝罪に太宰さんは笑顔になって、太宰さんと私との距離がもっと縮まったりして
「それは良いけれど、お陰で君を独り占めしたくて仕方ないから覚悟し給え」
望むところだ、悪いけど、幸せになる覚悟ならもう出来ている
大好きな人と同じ気持ちで居られる奇跡、手放すつもりはこれっぽっちだってない
「そうだ、引っ越しの日を少し遅らせようか」
急な提案は私に迫る
選択肢は一つしか用意されてないけれど
「君が付いて来てくれるなら、ね?」
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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)
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