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約束の夜は訪れた



「___ねえ、私のため?」



出会い頭、開口一番、目と目が合うなりそれだけ云って彼は微笑んだ



「なっ、何がでしょう?」



首を傾げてみたけど、声が上ずってるのは、はぐらかす心当たりがあるからで



「朝と装いが違ってるけど」



明確に事実を指摘しただけの言葉は、私を耳まで赤く染め上げるのには、十分過ぎるくらいだった

別にそんな訳じゃ、と飛び出たのは強がり

時間を掛けて選んだこの服も、丁寧に巻いてみたりしたこの髪も、全部たまたま時間があったから



「じゃあAちゃんは、他の人と出掛ける時もこんな風に着飾るのかい?」

「え、違っ、その、」

「なら、私のため?」



太宰さんには敵わなかった

まあでも良いか

苦労も、恥ずかしさも、「可愛いよ、Aちゃん」って太宰さんの一言で、全部報われちゃうんだから






「夕食をご馳走させてくれないかい?」



まるでどこぞの紳士さながらに、星と電灯の煌めく夜闇を背景にして、太宰さんは私を覗き込んで云った

それから私が何か云う前に続けて



「せっかく可憐に着飾っていることだし、食事処(レストラン)にしよう」



細められた目もとが見るに眩しい

私がその笑顔に見惚れている間にも、太宰さんは楽しそうに言葉を奏でる



「あ、でもやっぱり、私行き付けの居酒屋の美味しいおつまみも食べてもらいたいなあ……また別の日にどう?」

「えっと、あの、太宰さんに悪いので!」



身振り手振り激しくお断りして、やっと困ったように太宰さんを見上げた

そんな私に彼は



「私が連れて行きたいのだよ、だめかい?」



甘えたような声、視線



「だ、だめじゃ……ないですけど……」



断れっこない、むしろ

私には断らない理由しかないこと、果たしていつ太宰さんにバレてしまうだろうか



「ふふ、決まりだ」



貴方はいつだって恰好良く居る人だから、今日に限らず居酒屋でもきっと、奢ってくれると云い張るんですよね?

ああ、太宰さんって___



___" 今私のこと、優しいと思っただろう? "

ちょうどな頃合いのずばり図星な問い掛けに、私は正直にコクリと首を縦に振って答えた



「……違うよ」

「え?」

「これは優しさなんかじゃない、ただ " 次 " の約束を取り付けたかっただけさ」



太宰さんは、大人びた瞳で悪戯に笑った



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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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