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「えっと、つまり昨日、私は太宰さんと晩酌を交わしたんですか……?」
確かめるように問い掛けると
さほど小さくないソファにも関わらず、距離を詰めて隣に座る太宰さんは、にっこり頷いた
私と太宰さんの手には、それぞれコップ
昨日と同じシチュエーションのもと、昨日の出来事を思い出そう、という計らいらしいけれど
「飲んでたのって、ベランダなんですよね?」
お酒ではなく麦茶が満たすコップ、それは、私がお酒を飲む気力は無いからで
でもベランダだったはずの飲み場は、私の部屋のソファに書き換えられる必要があるのだろうか
「うふふ、こうやって君の部屋で、一緒に飲みたかったのだよね」
いや、明らかに、太宰さんの願望だった
溜め息混じりに呆れながら、ちゃっかり心拍を上げている私も私だろうか
って、これじゃまるで
___太宰さんのことが好きみたいだ
思った瞬間に顔が火照って、誤魔化すために麦茶を何度も口にした
「それで、昨日は何があったんですか」
やっとこさの思いで本題だ
太宰さんは思い出すように、うーん、と顎に手を添えながら唸った
と、その後、ちらりと私に降り掛かる視線
「そうだねえ、まずは、私が君を誘って」
何か、薄らと記憶はあるかもしれない
確か一杯だけとか約束したような
「君が私の飲みかけのお酒を飲んで」
ああ、云われて思い出した
思い出さなくても良かったのに
「それから君が急にすごい勢いで飲み始めて」
お酒しか頼りがなかったんだ
あんな心臓に悪い夜風の中の宴会で
「まあ色々あったけれど……最後に君が、『好きです太宰さん』って云ってくれたのは嬉しかったよ」
私、酔っ払って太宰さんにそんなこと
___ん?
「もう一度云って欲しいなあ、ほら」
意味ありげな太宰さんの目と言葉は、完全に私のその一言を期待している模様である
依然として二日酔いで頭が回らなくて
何となく、云われるがまま
「太宰さん……す、」
「す?」
「す……す……」
「す…?」
___んん?
ようやく何とか追い付いた理解は、途端に危険信号を激しく灯した
『好きです太宰さん』って本当に?
だってそれじゃ太宰さんに告白したも同然じゃないか
「わ、私、本当にそんなこと云って……!?」
焦って聞き返すと太宰さんは、残念だとも、面白いとも云いたげな表情で
その若干黒い笑みが、何より私を翻弄した
「さあ、どうだろうね?」
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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)
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