検索窓
今日:23 hit、昨日:20 hit、合計:818,063 hit

23 ページ23

·



「えっと、つまり昨日、私は太宰さんと晩酌を交わしたんですか……?」



確かめるように問い掛けると

さほど小さくないソファにも関わらず、距離を詰めて隣に座る太宰さんは、にっこり頷いた

私と太宰さんの手には、それぞれコップ

昨日と同じシチュエーションのもと、昨日の出来事を思い出そう、という計らいらしいけれど



「飲んでたのって、ベランダなんですよね?」



お酒ではなく麦茶が満たすコップ、それは、私がお酒を飲む気力は無いからで

でもベランダだったはずの飲み場は、私の部屋のソファに書き換えられる必要があるのだろうか




「うふふ、こうやって君の部屋で、一緒に飲みたかったのだよね」




いや、明らかに、太宰さんの願望だった

溜め息混じりに呆れながら、ちゃっかり心拍を上げている私も私だろうか

って、これじゃまるで

___太宰さんのことが好きみたいだ

思った瞬間に顔が火照って、誤魔化すために麦茶を何度も口にした




「それで、昨日は何があったんですか」




やっとこさの思いで本題だ

太宰さんは思い出すように、うーん、と顎に手を添えながら唸った

と、その後、ちらりと私に降り掛かる視線




「そうだねえ、まずは、私が君を誘って」


何か、薄らと記憶はあるかもしれない

確か一杯だけとか約束したような




「君が私の飲みかけのお酒を飲んで」


ああ、云われて思い出した

思い出さなくても良かったのに




「それから君が急にすごい勢いで飲み始めて」


お酒しか頼りがなかったんだ

あんな心臓に悪い夜風の中の宴会で




「まあ色々あったけれど……最後に君が、『好きです太宰さん』って云ってくれたのは嬉しかったよ」


私、酔っ払って太宰さんにそんなこと

___ん?




「もう一度云って欲しいなあ、ほら」




意味ありげな太宰さんの目と言葉は、完全に私のその一言を期待している模様である

依然として二日酔いで頭が回らなくて

何となく、云われるがまま



「太宰さん……す、」

「す?」

「す……す……」

「す…?」



___んん?

ようやく何とか追い付いた理解は、途端に危険信号を激しく灯した

『好きです太宰さん』って本当に?

だってそれじゃ太宰さんに告白したも同然じゃないか




「わ、私、本当にそんなこと云って……!?」




焦って聞き返すと太宰さんは、残念だとも、面白いとも云いたげな表情で

その若干黒い笑みが、何より私を翻弄した



「さあ、どうだろうね?」



·

24→←22



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (780 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1379人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。