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「っていうか、太宰さんがいつでも来て良い、って鍵をくれたんでしょう?」



布団を畳んで、冷房を弱めて

今更思い出して云い返しても、太宰さんはにこにこしていて何も聞く耳を持ってくれなかった

太宰さんだって、寝巻き姿なくせに

普段と違ってラフな格好の太宰さんに、ちょっとドキッとしたりするし、寝起きだからか雰囲気もどこか子供っぽいし

太宰さんの云う " 色々 " が判った気がして



「寝巻き姿を見て色々考えるのは、男の人だけじゃないんですからね」



無意識に漏れてた呟き

ばっちり聞き逃さなかった太宰さんが、更に口角を緩めたことを、私は知らない







「うふふ、嬉しいねえ、一晩中Aちゃんが私のことを考えててくれたなんて」

「まだ云ってるんですか」

「今日は良い一日になりそうだよ」

「……良かったですね」



考えてたって云っても、太宰さんが好きで、とかそんなんじゃないのに

だってそりゃあ、こんな唐突で心臓に悪い人が隣に引っ越して来たら、誰でも眠れなくなるだろう

何でたったそれだけのことで、そんなに嬉しそうに出来るんだろう

なんて、ため息を吐いた時



「ああ、この幸せな気持ちのまま死ねたらなあ」



物騒な台詞が聞こえてきて、吐いたため息も咄嗟に引っ込んだ



「だ、だめですよ!?」

「どうして? この後不幸せになるくらいなら、今死んでしまった方がずっと良い」

「そ、そんなの、この先私が太宰さんを好きになる未来だってあるかもしれないのに」

「成る程、それもそうか」



その時は今よりもっと幸せな筈だものね、と呑気な太宰さんは笑うけれど

またフラグを立ててしまった私は、笑えなかった









「太宰さん、朝ご飯は?」

「お腹空いてないのだよね」

「……そうですか、じゃあ一応持ってきたんですけどこれ、要らないですね」

「え……待って、要る要る! 食べるから!」



ちゃんと食べて下さいねって云ってるのに

私の料理だと食べるくせに、どうして一人だと食事を放棄するのやら

心配という大義のもとに余分に作った朝食を、太宰さんの部屋の食卓に並べた



「どうぞ」

「ふふ、有り難う、Aちゃん」



そうやって笑ってお礼を云われたら、まあ良いかと思ってしまうくらいには、絆されてしまっているのだろうか

顔が良いってずるいなあ




「何だか私たち、夫婦みたいだね」




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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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