第163話ですよー ページ13
*
夢をみた。
夢だとわかるのは、昔のことだから。
そして、ミツバ姉が元気だから。
ミツバ『あら、可愛い女の子ね。近藤さん、この子は?』
近藤『最近ウチに来たんだ。コイツも色々あったらしくてよ...この歳で独りもんだ。身体の調子がいい時にでも構ってやってほしくてな』
ミツバ『そんな限定的でなくても。丁度そーちゃんと同じくらいの歳みたいだし、妹ができたみたいで嬉しいわ』
そう言ってミツバ姉は私の視線に合うように 屈んだ。
ミツバ『沖田ミツバです』
ほら、と近藤さんに促されて私も自分の名を口にした。
あ『...A、です...』
ミツバ『ふふ、Aちゃん、これからよろしくね』
柔らかい笑顔を、私に向けてくれた。
女の人のキレイな笑顔なんて、お母さんぶりで。
両親を亡くしてすぐの荒んだ心が、そっと撫でられたような気がした。
*
ミツバ『ご飯の作り方?』
あ『うん。ミツバ、姉、が...咳が大変な日とか、私ができるように』
ミツバ『Aちゃんは優しいのね』
あ『...優し...?』
ミツバ『ええ。さ、今日の晩御飯は...』
“優しい子”
お母さんも、言ってくれた。
食材を取り出し始めたミツバ姉の後ろ姿を呆然と眺める。
コホン、とミツバ姉が小さく咳をしたのを見て 慌てて駆け寄ると、柔らかく頭を撫でてくれた。
ありがとう、って、笑ってくれた。
*
総悟とは波長があったのか、数週間もすれば割と仲良くなった。
道場から帰ってきて、ミツバ姉に今日のことを話して、家のお手伝いをして、お使いをして。
私も総悟も、ミツバ姉の笑顔が大好きなもんだから、その笑顔を見るための生活...というものをしていたと思う。
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そしてトシ兄が道場に来た。
あ『トシ兄』
土方『...あっち行ってろ』
あ『...トシ兄』
土方『...聞こえなかったか。あっち行ってろ』
あ『...っ、トシ兄』
土方『...だァアア!!なんだ!!』
ぐるりとキレ気味に振り返るトシ兄。
あ『...手、マメできてるよ...あの、手当てするね...あとこれ、ミツバ姉からの差し入れ...トシ兄のぶん』
そうだ、最初はトシ兄とは言いつつも距離感が掴めなくてオドオドしてた。
そしていつからか、取り敢えずミツバ姉の名前を出せば、しぶしぶ動いてくれることを発見した。
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土方『...アイツには、言うなよ』
あ『...うん』
アイツ=ミツバ姉
ああ、これは...うん、また後で...
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練紅龍(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» こんにちは。幼馴染たちと新参者たち(敵)どいつもこいつも腐れ縁やら因縁やらでつながれてます。ちゃんとそこまで書けるよう頑張ります……! (6月7日 17時) (レス) @page17 id: 0cf84c7016 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは。んー、武州組は兄弟って感じだからオチは高杉さんかカムイなのかな?なんて、また次を楽しみに今日は終わります。 (6月7日 2時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 焦凍さん» ありがとうございます!励みになります...遅筆ですが頑張ります! (2021年10月11日 8時) (レス) id: 817163acd5 (このIDを非表示/違反報告)
焦凍 - めちゃくちゃ面白かったです!続きも楽しみにしています!! (2021年8月21日 2時) (レス) id: 427116d3c5 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - みくるさん» やーありがとうございますー!コメントが燃料補給です...w今から書きますd (2019年2月7日 20時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
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