第165話ですよー ページ15
足がもつれて。痛くて。何度も床に身体を叩きつける。
今日は何日?私はどれくらい寝てた?ミツバ姉は?生きてる?みんなは?ミツバ姉のところにちゃんといるの?
たくさんの疑問が頭の中をいっぱいにする。
死んじゃ、やだよ。
そんな子供みたいな我儘を糧に、何度だって起き上がって走る。
ミツバ姉と同じ階だったのが幸いだ。
角を曲がると、見慣れた黒い隊服の集団が見えた。
べちゃり、とまた床に倒れ込む。
こんなゴミが...いやボロ雑巾?が落ちたみたいな音に驚いたのか、彼らが一斉に振り返る。
副隊長、Aちゃん、と声が聞こえてる気がするけど、私の身体はその声に反応する余裕はなくて、ただバカみたいに起き上がって、バカみたいに走る。
山崎「目が覚めてよかった!っていうかそんな走ったらダメ...((ぶっ!!」
通路の邪魔だったザキ(多分)を薙ぎ払って、医者や近藤さんの声もよく理解できないまま、病室の前のガラスに手をつく。
病室にいるのは、ミツバ姉と総悟。流石に姉弟の邪魔はできない。
泣きそうな総悟を見てると、今から最期を迎えることくらい、容易に予測できた。
あ「みつ、ば...ね゛え」
思ったように声が出ないし、ミツバ姉の最期を見届けたいのに 足は脱力していく一方だ。
ミツバ姉の、今にも光を失ってしまいそうな瞳が、私を捉えた。
その瞬間、息が止まった。
紫色に変わってしまった形のいい唇を、ゆっくりと動かす
ミツバ「_____、_______」
多分。多分、いや絶対。言った言葉は、
“ありがとう”
“私の自慢の妹”
そして最期に、私の、私達の、大好きな、あの柔らかい笑顔で、私達に別れを告げた。
視界がボヤけて、大好きなミツバ姉の笑顔がよく見えなくて。
火傷が痛いとか打ち身が痛いとか、そんな感覚は全くなくなって。
沈んでいく身体を、大きいガラス窓の縁にかけた腕で必死に支えて。
額をガラスに押し付けて。
流れ出てくる涙を止めようと唇を強く噛んで。
あ「あ、ありが、どう...わたし、の...おね、ぢゃん...」
頑張って引っ張った口角。
頑張って細めた目。
頑張って込めた思い。
お姉ちゃん兼お母さんのミツバ姉。
両親を失った私が絶望のどん底から這い上がれたのは、真選組はもちろん、ミツバ姉の存在が大きかった。
貴女に出会えた、その幸せは、私の宝物です。
貴女に、精一杯の、ありがとうを。
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練紅龍(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» こんにちは。幼馴染たちと新参者たち(敵)どいつもこいつも腐れ縁やら因縁やらでつながれてます。ちゃんとそこまで書けるよう頑張ります……! (6月7日 17時) (レス) @page17 id: 0cf84c7016 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは。んー、武州組は兄弟って感じだからオチは高杉さんかカムイなのかな?なんて、また次を楽しみに今日は終わります。 (6月7日 2時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 焦凍さん» ありがとうございます!励みになります...遅筆ですが頑張ります! (2021年10月11日 8時) (レス) id: 817163acd5 (このIDを非表示/違反報告)
焦凍 - めちゃくちゃ面白かったです!続きも楽しみにしています!! (2021年8月21日 2時) (レス) id: 427116d3c5 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - みくるさん» やーありがとうございますー!コメントが燃料補給です...w今から書きますd (2019年2月7日 20時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
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