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・ 愛する異能 ページ34

〜アラナサイド〜

「……………そうして私は首領の元にリイナを連れてきた。話は終わりだよ」


青ざめてしまった私の表情。


そして私は苛立ちという感情を必死に抑えた。


いつもリイナに笑いかける太宰さんは…
リイナのことをこんなふうに思っているなんて信じられなかったからだ。


更に彼女の持っている異能…


「リイナは異能を2つ持ってるのか?」


「正確には、それは違う。
リイナが今使っている『花鳥風月』は仮の姿だ。

彼女の異能力『花鳥風月』の真の姿は、
『触れた人間をその人間が思う美しいものに姿を変える。その生命と引き換えに』ね」


「……ごもっともだな。
手前が理想とする死に方じゃねえか」


「あぁ、でも私はこの異能のせいで死ねないのだよ…理想的な『死』が目の前にあるのに」


太宰さんはひらひらと自分の掌を仰がせる。


リイナを………
彼は一体何として見ているのだろうか。



「太宰さん、何故雨宮リイナはその力を使わないのですか」


芥川が太宰の目を見て問う。


「あぁ、使わないんじゃなくて…使わせていないんだよ、首領…この説明もいる?
もう私疲れてきたのだけれど」


太宰さんは溜め息をつきながら、首領に話を引き渡そうとする。


その目は呆れたような、そうじゃないような。




「あぁ、思い出したよ。
確か、彼女に全て任せてたよね」


だが、首領は話を引き渡されようとしない。


「……ったく、彼女って言っても
『元』だからね」


「……太宰さんって彼女いたの?」


私は中也にこっそりと耳打ちをする。


「彼奴はいつもいる、みたいなもんだ。
まぁ、彼奴が本気で付き合ってる奴なんて
今まで見たことねえし、いまはいねえが」


中也がぼそっと問いかけに答えた。


…なんで中也は太宰さんの恋愛事情よく知ってるんだろう。




「リイナが異能を使う度に、
自分が家族を殺したことも同時に思い出すんだよ。
そうなればリイナは動こうとしないから…
私の元カノに全て任せてた」



「彼女は異能力者なのですか?」



「あぁ、私の元カノも異能力者でね。
『他人の記憶の一部を奪える』っていう特殊な異能力だったんだよ


でもあの時は上手に異能が使えなくて…
リイナの他の記憶をも同時に奪うことになったんだけど。

……それでまぁ、リイナの記憶を奪ってもらってたかなぁ。リイナに『花鳥風月』使わせる度」



その言葉を聞いた瞬間、
私の我慢は限界を達したのだった。

・ 愛する異能(2)→←・ 太宰の過去(4)



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設定タグ:太宰治 , 中原中也 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時

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