愛してる、愛してない【文スト】 (ページ35)

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・　愛する異能(2) ページ35

｢花鳥風月を使わせるたびって……
太宰さん、貴方は今まで何度リイナの記憶を………」

リイナの記憶を奪って、リイナを無知にしたのがこの人なんだ。…と私は気づいてしまった。

きっと、リイナを自分の言うことだけに従うようにしていたことも。

｢何度って………
うーん……数えてないな」

太宰さんは頭をひねらせて指を折るものの…わからないなという表情をした。

「……っ、太宰さん…太宰さんは、リイナを何だと思っているんですか……！」

その場には私だけの声が響きわたった。

その声は苛立っていて
おいアラナどうした、何ていう中也の言葉も耳に届かない。

「…なに、って、私の部下だよ。
私に理想的な死を見せてくれる、
……私の『愛する異能』を持つ部下」

私の感情を理解したのか私に冷たい視線を浴びせた太宰さん。
刹那、恐怖を感じる私。

｢………っ」

だけど私はこんなことでは引かない。

「なら、ならっ…！太宰さんはリイナの気持ちを考えたことがありますか？リイナの『異能』では無くて、リイナ自身のことを…」

「あぁ、あるさ。
リイナの好きな食べ物、誕生日……
リイナが喜ぶこと、悲しむこと。
そして、リイナが私に依存していることも」

当たり前かのようにリイナが太宰さんに依存していることを口に放つ。

そのことにますます私の感情を荒くなる。

｢…………っ！！！
そうじゃないんです！…ッ、それは……貴方が、貴方がそうさせたんじゃないですか⁉

貴方が……太宰さんがリイナを依存させて、自分が異能を愛したが為に、
記憶を奪って…全部、全部…っ、リイナの全てを貴方が変えたんじゃないんですか⁉」

苛立ってしまった私は大きな声で太宰さんに怒鳴ってしまう。私の中は、怒りだけが募り…感情を更にヒートアップさせる。

｢………煩いなぁ。
いいじゃあないか。リイナは自分が家族を殺したことを知るのを拒んだ。
だから、忘れさせた。それに何の問題があるんだい？」

｢嘘、ですよね。
異能で人を殺すリイナを何度も見て、人間のことをもっと知りたいから…の間違いじゃないんですか？」

｢………そうさ、それも間違いじゃないね」

｢っ、どうして…どうして貴方はリイナのことを人間として見てないんですか！
守ってあげる、なんて嘘もついて……。
貴方に拾われたリイナが可哀想で仕方が…」

言い合いになった私たち。

……だがそれは、私のこの一言で終息したのだ。

｢………ッ！アラナ！」