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ーー夕方ーー
『街が賑わってますね』
煉「うむ!そうだな!」
宿で少し休んだ二人は、橙色の街の中を歩いていた。昨夜の殺伐とした風景とは打って変わって賑わいを取り戻していた。
フク「あの!」
煉「ん?」
『あ、フクちゃん!トミさん!』
二人を呼び止める声が聞こえそちらを振り向くと、そこにはフクとトミが立っていた。
フク「今朝の事は、なんてお礼言ったら良いか」
トミ「これをどうぞ。私らには、こんなものしかないのですが」
煉「おぉ!実は昨夜、食べ損ねてしまって……!」
『ありがとうございます!』
煉「しかし、代金は払おう」
杏寿郎がそう言うと、フクは“お気持ちだけで”と言った。
煉「そうか。ではこれは頂くとし、そこにある分を、全部買おう!」
フク「えーーっ!?!?」
そう言い杏寿郎は、フクが持っていた弁当を全部風呂敷に包んだ。
トミ「お気を付けて」
フク「近くに来たらまた寄ってください!」
『フクちゃん。これあげる』
と、Aが懐から出したのは花柄の巾着。フクが受け取ると、中には飴玉が沢山入っていた。
フク「お姉さん、これ良いの?」
『うん。もちろん。ありがとう、フクちゃん』
フク「お姉さん……!!」
Aはフクの頭を優しく撫でる。
煉「あなた方の事は父に伝えます。喜ぶ事でしょう」
『……』
煉「それではお元気で!また会いましょう!」
『じゃあね!フクちゃん!トミさん!』
Aと杏寿郎は二人に別れを告げ、無限列車へと乗り込んだ。
『良い人達でしたね』
煉「あぁ!そうだな!A。これからが本当の任務だ。気を引き締めて行こう」
『はい!』
煉「……、君は泣かなくなったな」
『いつまでも泣いていると、師範にまたどやされてしまいますから』
今はここにいない天元の事を思う。そんなAを見て、杏寿郎は優しく笑った。
『それに、煉獄さんと任務出来るのが嬉しくて』
煉「そうか!俺も嬉しく思う!共に頑張ろう!」
『はい!』
無限列車。
40人以上もの乗客が行方不明となった。
轟A。竈門炭治郎、嘴平伊之助、我妻善逸。
この4人にとって、“柱”がどれだけ強いのかを思い知らされ、そして、悲しい任務になるなんて。
『(そう言えば炭治郎達と合同なんだよね。響が言ってたよな……)』
この時のAは、まだ知る由もないーー。
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ななこ(プロフ) - ミアさん» コメントありがとうございます!ドラマCDの胡蝶姉妹、良い話ですよね(泣)分かりました!書かせていただきます! (2022年1月31日 22時) (レス) id: f3c05740c2 (このIDを非表示/違反報告)
melody(プロフ) - はじめまして!読ませて頂きました。続きがとっても気になります。更新楽しみにしてますのでよろしくお願いします。 (2022年1月31日 21時) (レス) @page38 id: 648912d438 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - ドラマcdで胡蝶三姉妹のような宇髄家の過去の日常をリクエストします! (2022年1月31日 21時) (レス) @page38 id: baa6bfc0d1 (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - 月の舞さん» コメントありがとうございます!キメツ学園はいつか書こうかな、と思ってたので、番外編みたいな形で書かせていただきます!これからも応援よろしくお願いします! (2022年1月31日 19時) (レス) id: f3c05740c2 (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - ななこさん» 無限列車編 終わりましたね…。いよいよ遊郭編か、楽しみです‼️リクエストいいですか?キメツ学園編も見てみたいなぁ〜。遊郭編の後でも構いません💦 更新頑張ってください‼️応援してます (2022年1月31日 12時) (レス) id: 6295bdffb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななこ | 作成日時:2022年1月12日 14時