占ツク「の中」にいます 3

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チャキッ、と、嫌な音がした。

「あまり、こういう事はしたくなかったんだがなぁ。」

さっきの顔とは打って変わって、狭間さんは目が充血するほど怒りに満ちていた。

「…あいつの…味方をするもの…」

卬のことを相当敵対視しているらしく、状況から判断するに私にも八つ当たりをするつもりだそうだ。


学校の校門から少ししか離れていないというのに、周りを見渡しても人影はなかった。助けがないのなら、今の私にはほぼ勝ち目はない。

いっそすっとぼけて逃げた方がいいのか？さっきまでの会話で私が卬のことを知っているなんて情報は流していない。つまり私はまだ「何も知らない」事になっているのではないか？

ええい、どのみち面倒くさい事に巻き込まれるんだから、賭けてみようじゃないか！


「えーっと…あのー…」

「まだ何か質問ですか？」
「はい…」
「なんでしょう。なんなりと。」

私に向けられる目がさっきより数倍も厳しい。答え方によっては自分が危なくなる。私は慎重に言葉を選んでいく。

「さっきから、何の話をされているのでしょうか…？」
「今更とぼける気ですか？」

「いや、いきなり言われすぎて質問が浮かばなくて…、1度全部話を聞いてから質問しようと思って…」
「ならば何故私の利き手を聞いたんですか。」

「それは…動きが不自然だったから…」

少しの間、私を見定めるように睨んでいた狭間だが、ふと目の端を緩めて言った。

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