【文スト】其の女、何故生きる① (ページ15)

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理由ページ15

『さぁ～て、ひぐちゃん
何故探偵社の社員を撃ったのかな？』

お察しの通りAが不気味な笑顔を浮かべて樋口に指導という名のお説教を行っている。

状況はとしては、

Aの薄暗い作業部屋に芥川と樋口が正座をして座り、Aが2人がけソファにどっしり腰掛けている。

周りから見たら“恐怖の場所”以外の何物でもない。

「えーっ…と…それは、あの…」

『ん？＾＾』

「(怖い…)」

Aは撃った事に怒っているのではない。

約束を破った事に対して問い詰めているのだ。

「すみませんでした…」

『………約束はね、守らなきゃならないの』

「？」

あの怖い笑みを消して何時もより何トーンも低い声で真剣な顔をしてそう口に出して、少し俯いた。

『約束はね、結んだ相手との縛り
守らなければ必ず何かしらの罰(ペナルティ)が待ってる

其れが何時訪れるかは分からないし、どれ程の重さかも分からない』

『約束=相手との契約って事、分かった？』

余りにもAが切ない顔をして言うので樋口は勿論芥川迄もAの話に聞き入っていた。

「分かりました、本当にすみませんでした
以後気を付けます」

『分かったなら宜しい！じゃあ帰っていいよ2人とも』

案外サクッと事が落ち着いたものだから、樋口は数秒足が動かなかった。

「……あ、えと、失礼します」

少し挙動不審な樋口にAの口が緩む。

『守り抜かなければならない約束…』

か細い声は薄暗く小さい部屋に消えていった。