面接試験 ページ27
「じゃあ明日ね、竈門Aさん」
「よろしくお願いします」
丁寧なお辞儀をすると、店長は人の良さそうな笑みを向けた。
(いい人そうで良かった……)
数人の男性客の品定めするような視線を無視して店を後にする。
店側も早めに歌手を雇いたいとのことで、面接と試験は明日になった。
名前を聞かれた際、鬼になって以来自分の姓を忘れてしまっていた私は、焦った挙句、苦し紛れに「竈門です！」と言ってしまった。
他にも候補はあったが、『胡蝶』では鬼に鬼殺隊関係だと勘づかれる可能性もあるし、柱の姓を名乗るのも畏れ多い。
『我妻』は流石に言えるわけが無い……。
結果、『竈門』が一番無難だったのである。
(……炭治郎、勝手にごめん！)
心の中で深く謝罪しながら宿に戻った。
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昼の営業終了後、夜の営業準備中の時間を利用して、面接と試験が行われた。
「うちとしては女給もやって貰えると助かるんだけど……どう？君なら儲かると思うよ？」
店長が強く推してくるが、やんわり首を振る。
「母が病気で、弟や妹達の面倒を見なくちゃならないんです。下の子はまだ小さいし……。でも、夕方になれば長男が仕事から帰ってくるので、夜じゃなきゃ難しいんです……」
昼間に宿で考えた設定を並べる。
眉尻を下げて、しゅんとしてみせる。
竈門家は大変なんです、という精一杯のアピールだ。
「そっかぁ、大変なんだね……。そしたら夜の接客はどう？演奏の時だけ抜けて、終わったらまた入ればいいじゃない？」
「───それは……」
思った以上にグイグイくる店長に困惑する。
今まで独りで過ごしてきたのに、知らない男性と一対一で長時間会話なんて、不安すぎる。
拷問に近い。
(どうしようどうしよう……何か言わなきゃ！)
「ウチみたいな店は、君たちのお給料はお客様からのチップだけになるんだ。だから、歌と両方やればだいぶ家計の助けになるんじゃないかな？……ちょっと今ねぇ、女の子がどんどん辞めちゃって、俺も助かるんだよねー。ね？お願い」
「………う……、はい……」
「良かったぁー……！じゃあ、あっちの舞台で歌ってみて」
店長は安堵の笑みを浮かべ、舞台を指さす。
それが私の目には勝者の勝ち誇った笑みに映る。
(うわぁあん！押し負けたぁあああ！！)
頭の中で血の涙を流しながら暴れ叫んだ。
肩を落として、バンド演奏の楽器の中心に立つと、隣でピアノが奏でられた。
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maicoo(プロフ) - はなさん» ご指摘ありがとうございます！本当にすみません！誤字があると、フッとこう、現実に戻されますよね ; 気をつけなきゃ…(--;)こんな文章ですが、読んで下さってありがとうございます！更新頑張りますね！コメントありがとうー！！ (2019年9月23日 3時) (
レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！誤字なのですが、鬼血術ではなく、血鬼術だと思います...。これからも更新頑張ってください！応援しています！！！ (2019年9月23日 1時) (レス) id: 0b253d056d (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - カナリアさん» ですねw怒らせたら面倒な男上位に入ると私は思っていますwww続き楽しみにしていて下さい！コメントありがとうございます！！頑張ります！ (2019年9月21日 14時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - 善逸お怒りですねぇwww続きすっごい気になる！更新楽しみにしてます！ (2019年9月21日 11時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - モブさん» コメントありがとうございますー!!!!何だろ、二人を地獄に突き落とすのが好きみたいでこんなことに……wwもう、努力してもらうしかないですねw自分が言うなって感じですがw本当にコメント嬉しいです！頑張りますね！これからもよろしくお願いします!!!! (2019年9月19日 0時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：maicoo | 作成日時：2019年9月12日 14時
