30(碧色) ページ9
私はとぼとぼと家に帰る
その隣には心配そうにしているユナンがいた
かける言葉が見つからないのだろう、ずっと無言でついてきている
私達が家の前に着くと、そこにはいるはずのない人間が訪れていた
「おかあさん…?」
そう、お母さん
あの女と違って、正真正銘私とクレアの産みの親
蒼く長い豊かな髪を一つにまとめ、それを緩く三つ編みにしている女性、私のお母さんはこちらを見てにこりと微笑んだ
紅い長くしなやかな髪を二つにまとめ、それを三つ編みにしている女性、クレアのお母さんはこちらを見て久しぶりと笑った
「お母さん…?でもシオンの話だとお母さんは、義理のお母さんも実母も死んでいるんじゃ…」
ユナンの言葉に私は同意する
「そうだよ、お母さん!どうしてここに…」
「私達みたいなのが、あんなにあっけなく殺られてやると思うの?」
私のお母さんはニッと笑いわしわしと私の頭を豪快に撫でた
「その杖…シオンちゃん、村へ戻ったのね」
私が握っている金製の杖を見てクレアのお母さんは真面目な顔で言った
私は何も言わずに頷く
「シオン、村のみんなの事は説明するよ…立ち話はなんだし、まずはここに…君らの新居に入れてほしいんだけど…。子供の新居ってちょっとワクワクしない?シェプ」
シェプ…それはクレアのお母さんの名前だ
「まあ、家具とかに口を出してあげましょジオーネ。まだこの子達経験が浅いから、自分に何が必要なのかも分かっていないのだろうし…」
ジオーネ…私のお母さんの名前
私はなんだか嬉しくなって、2人を家に招き入れた
ユナンはそれを止めていたが、入れてはいけない理由が私には思いつかなかった
クレアもお母さんを見つけると真っ先に飛びついた
泣きながらお母さんとの再会を果たすクレアを見て心がほっこりとする
「ま!深刻な話の前に自己紹介してちょうだいよみんな!お近づきの印にお願いっ!」
私のお母さんはみんなの前でそう言った
昔から私のお母さんはこうだ
誰でも家族のように愛そうとする
そのため異常に相手の事を知ろうとする
お母さんは頭を下げると同時にはっとしたように顔を上げ自己紹介をした
「私はジオーネ!そこのシオンの母親で、魔法学者をやっていた者。魔法のことでお悩みがあるのなら私がどうにかしてあげられるかもしれないから、相談に来てねん!」
「私はシェプ。クレアの母親でただの魔導師よ。今日は大事な話がしたくてここへ来たのだけれど、そうね。自己紹介……が先ね。」
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作者名:緑茶餅と碧色 x他1人 | 作成日時:2017年7月17日 20時