49(碧色) ページ46
「何とも心強い客人じゃないか！……あぁ、そうだった！僕は今日も芸術活動に励まなければならないんだった！後は僕のキュートなロクくんに任せて僕は別の部屋で彫刻を作るよ！昼には戻るのでそのつもりで！ではまたね、僕の親愛なる客人諸君！」
女の子はそう言って慌ただしく部屋を出た。
それにしても面白い子だなあ。
「ナナシちゃんったら！……もう。ごめんなさいお客さん。ナナシちゃんが迷惑かけて……。こんな訳の分からない呪いを解く約束なんかさせちゃって……。」
申し訳なさそうに男の子……ロクくんは言った。
「いいよそんなの。約束したからにはちゃんと助けるからね。」
ユナンは優しく微笑む。だけどロクくんは首を横に振った。
「この呪いは解けない。本当はナナシちゃんも分かってるはずなんです。この呪いは難解どころではなく、解読不可能だから……。じゃなかったらロードさんがとっくにどうにかしてくれてます。」
ジュダルは少しムッとした。
「んだよそれ、オレ達がその女以下だからその女にできねー事はオレ達にもできねーって事かよ」
なんつー被害妄想力……。
「違いますよ。あなた達もすごすぎる程にすごい……それはナナシちゃん達みたいに特別じゃない僕にも分かります。でも無理なものは無理なんです。勘のいいロードさんが、僕達を見て"人間にはこんなの無理だ"って言ったんだから、それは人間にはできないんです。」
私はふと考えた。
この子達の話を聞くに、この子達は随分と小さい頃から呪いにかかっていたのだろう。
その間ずっと"このままだと10歳頃に死ぬしかない"と思い続けていたのだとしたら。
少なくともここ最近は"もう助からない。絶対に10歳頃に自分は死ぬ"と思ってこの子達は過ごしていたはずだ。
それはどれほどつらいだろう。少なくとも10歳の子供には酷すぎる。
「まあ出来ることはやってみましょう！まだ１週間あるんだから！まずはホープたんが言ってた本を見てみよう！大丈夫、きっと何とかなるからね。」
クレアはずっとこっちを見ていたと思ったら、ロクくんに向かってそんな事を言い出した。
ロクくんは驚いたように目を見開き、少し笑うと、真剣な顔で
「僕はなんでもするし、どうなってもいいから。ナナシちゃんは、できれば助けてあげてください。あなた達になら任せられるような気がしてきた。」
と言った。
私もホープたんもクレアもティトスもユナンもジュダルも、それを見てなんとなく違和感を感じた。
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作者名：緑茶餅と碧色 x他1人 | 作成日時：2017年7月17日 20時
