47(碧色) ページ42
「それにしても……美男美女勢揃いだねえ。これは如何に僕が美形と言えど霞んでしまいそうだ！いやん！見ているだけでインスピレーションが湧き上がってくるようだよ！！」
そう言いながら女の子はこちらにやってきてユナンをばっしばっしと叩いた。
ユナンは「いたいよ……」と若干嫌そうだ。
「ナナシちゃんったら！もう……すみませんみなさん。おやすみ中なのに……。」
根暗そうな男の子は申し訳なさそうにペコペコと頭を下げている。女の子はそれを気にしている様子もなく私達を値踏みするかのように眺めた。
「諸君、なかなかだねえ。特に男性諸君は特別な存在だろう？僕はルフとかそういった物は見えないが、佇まいや雰囲気で感じ取れるよ。芸術家だからね！」
芸術家関係ないと思うけど。
さすがの私もこれはぽかんと見ているしかなかった。
「ナナシちゃん何言ってるの……！ほら！早く飲み物とって上に戻ろうよ！元々こっちにはナナシちゃんが置き忘れたジュースを取りに来たんでしょ！」
グイグイと女の子の服を引っ張る男の子。よく見ると2人とも病人が着ているような服を着ていた。
「ん？あぁ……その件は嘘だよ。ごめんね。僕のキュートなロクくんに嘘をつくのは心苦しかったけれど、どうしても客人が気になってね……」
横目に私達を見る女の子。
「他の住人は主を含め気難しいからね。」
とてもそうは見えなかったけど
「僕達がこの館の案内人をつとめようじゃないか！その代わりと言っちゃあなんだが……というか、これが本当の目的ではあるけど、お願いがあるんだよ。」
女の子はコホンと咳払いをした。
「僕達の呪いを解いてほしい。」
「ナナシちゃん……？」
さっきまでと一転して気迫のある真剣な顔でそう言う女の子。その雰囲気に圧倒され、ユナンもジュダルも大人しく何も言わずその子の話を聞いていた。
男の子は女の子の隣で戸惑ったような顔をしている。
「僕としては、芸術家としては早逝も望ましい事ではあるのだけれど……ロクくんとしては、一般人としては、なるべく長生きした方がいいに決まってる。しかし僕達は呪いのせいであと１週間しか生きられないらしいんだ。」
「……呪いの原因はわかるかな？」
ユナンの問いにフルフルと女の子は首を横に振った。
「無理を言っているのは百も承知！だけど君たちならできるって、そんな気がしたんだ！だから……」
女の子は勢いよく頭を下げた。
「お願いします。」
誠心誠意のお願いの声だった。
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作者名：緑茶餅と碧色 x他1人 | 作成日時：2017年7月17日 20時
