34(碧色) ページ17
「……!!??」
突然シェプがゴプッと音を立てて大量の血を吐き出した。
「シェプ……!?」
慌ててセを撫でようとするが私も続けて血を吐いた。
……何かがおこってる。
そう思った瞬間私達の体は勝手に駆け出していた。
向かうはあの子達がいる場所。私達の手には短い三股の槍が握られていた。
今から私はあの子達を傷つけに行くのだ。この身が文字通り、朽ちてしまう前に。
________
クレアがいなくなり、私はユナンに"私にさっき何をしたのか"聴こうと口を開いた瞬間だった。
突然部屋のドアが荒々しく、無理矢理開けられたような音がする。
私は慌てて部屋を出た。クレアも同じだったようで、部屋から出た瞬間に目が合う。
私達はそのままドアがある方へ向かうが……
途中で思わぬ人達と顔を合わせることになる。
「「お母さんっ!?」」
その人達は血を吐きながらも、皮が爛れながらも、私達を見ると駆けていた足を更に加速させ近寄ってきた。
「何事です……?」
目を擦りながらやってきたディスベアーを見て、私は"やばい"そう思った。
案の定、クレアのお母さんの方が標的をクレアからディスベアーに変え進行方向を急激に変えた。
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私達は体が急激に崩れていく苦痛に耐えながら、我が子とその友達を傷つけようとしている。そういう風に体が動いてしまう。
その原因はこの三股の槍だ。この槍に1度傷つけられれば、槍の持ち主に操られてしまう。そういう魔法道具。
そして私達がもっている槍は、その魔法道具の付属品のようなものだ。本体は本来の持ち主がもっている。それはこれに比べれば、とても大振りな槍だ。
私は真っ先に、目に付いたシオンを標的に駆ける。
シェプは緑色の髪の子を傷つけ……
早く終わった方がクレアを傷つける。
そういう風に、プログラミングされていたかのように、私達の体は動く。
クレアが後回しにされたのは恐らく、この中では一番クレアが弱いから。
とんだ見当はずれだ。この槍の持ち主は相当に見る目がない。
私は心の中で嘲笑いながらシオンを傷つけるため思いっきり槍を振る。
しかし槍は、光り輝く防壁に阻まれた。
防壁魔法_______感触からしてかなり硬い。シェプの方を見るとそちらは黒い防壁に阻まれているようだった。
……この家の、マギのお陰ね。
私は急激に動いたせいでまた溢れた大量の血を口から流しながら理解した。
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作者名:緑茶餅と碧色 x他1人 | 作成日時:2017年7月17日 20時