33(碧色) ページ15
シェプは泣いていた。ただただ泣いていた。
私はただその背に寄り添うことしかできない。
私達は自分の意思で動いている。だからこそ酷なのだ。この魔法道具は。
私は自分が持っている、宝石が埋め込まれた短い三股の槍をみる。私はこれを壊すことが出来ない。できないのだ……。何故か壊そうとすると、とても壊したくなくなって、体が動かなくなる。
それがとてもつらかった。
私、ジオーネは少しだけ、ほんの少しだけ泣いてから、夜が開け昼になるのを待った。
__________
「シオン!!!」
突如部屋のドアが開いたかと思えばそこにはクレアが立っていた。
「えっ……ユナンさんとお楽しみ中だった……邪魔しちゃった……?」
「違うよクレア勘違いだから!……それで、どうしたの?」
「あ、勘違いなのね。じゃあ遠慮なく。」
ずかずかとクレアは私の元へ歩いてきて、ずいっと顔を近づけた。
「村が焼けてたって聴いたんだけど。」
「……。誰に?」
「それは言わない。でも聴いた。ねぇ、シオン。村に1回帰ったんだよね?それなら知ってたはずなのに、どうひて隠したりしたの?」
私は嘘をつこうと口を開くが、ユナンが「隠している場合ではないようだよ。」と意味ありげな事を言うものだから、思わず口を閉じてしまう。
そして私は意を決して全てを話した。
「クレア、ごめん。隠してたことは沢山あるの。」
お義母さんのせいで村の人たちがおかしくなっていたこと
お義母さんはクレアを売ろうとしていたこと
家出の理由はそれであること
お義母さんは昨日……私に殺されたこと
恐らくそれがそれがスイッチとなって、村が焼けみんなが死んだこと
全部話した。
クレアは顔を青くしながらも静かに頷きながらその話を全部聴いていた。
「……なんでそんなもの1人で抱えてたの。」
怒ったようなクレアの声。私は少し驚く。
「なんでそんなもの!私に内緒にしてたの!一緒に抱えればよかったじゃんそんなもの……!重いものだからこそ尚更!!」
ぐっと私の肩をもって更に怒鳴ったクレア。
「私は何のために、シオンを守ろうって思って頑張ってきたの!全然守れてない……」
クレアの声がしおれていく。
「……ごめん」
私はそういうことしかできなかった。
クレアははっとしたような顔になり、フルフルと首を左右に振って
「突然ごめん。ちょっと遅かったけど、話してくれて嬉しかった」
そう笑って部屋を出ていった。
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作者名:緑茶餅と碧色 x他1人 | 作成日時:2017年7月17日 20時