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32(碧色) ページ13

私、シオンは自分の寝床に座り込んでいる

どうすればいい、どうすれば?信じるべきなの疑うべきなの

確かにあの人達は、お母さん達はただでは殺されるような人じゃない。でも、もしもお母さん達が生きていたとしても……

いくらなんでも不自然なんだ……
こんなに時間が経っているのにあの時と寸分狂わず同じ姿でいるなんて……

疑いたくない、疑いたくないと私は思っている。でも、またこのまま不自然さを残したまま見逃して、いいのだろうか

そうグルグルと頭の中で考えていると直接頭に響くような声が聞こえた。

『疑う余地などないわ。ただ身を任せていればいい。』

『考え込むのは疲れたでしょう。考え込んで背負い込むのも。もう今日はおやすみなさい。』

『あなたが考える必要はないのだから。』

ぐわんぐわんと反響するその声
聴いているだけで心が折れそうだ。だけどこの声から逃げる事はできない
なにせ頭に直接流れ込んでくるのだから

不覚にも泣きそうだ
泣くことなんてなかったのに、ここ最近心の方に負荷がかかりすぎたのか?……あぁでも泣けないよりはいいか

「シオン?」

ドアの向こうから声がする
ユナンの声
ユナンは私に構いすぎなんじゃないか?そう思いながら入ってもいいよと返事をする

そうしている間にも不愉快な言葉は頭の中で響き続けていた

「何のよう?また夜這い?」

「またって、僕前科ないよね……?心配になって来たんだよ。」

「前科ないね、そう言えば。なんでしないの?」

「なんでしないのって言われてもね……」

「まあご覧の通り心配には及ばないよ。ちょーげんき。ちょーはっぴーだから。どーしても心配って言うなら美味しいご飯とおやつでももってきてよ。」

そう言うとユナンは諦めたように少し息を吐いて

私をそっと抱きしめた。

「何……本当に夜這いだったの……」

「違うよ。……やっぱり、聴こえる。」

「聴こえるって何が?心臓の音?いやんえっち」

「そうやって率先してシリアスをぶち壊すシオンの事、僕は好きだよ。でも今はふざけない方がよさそうだ。」

そう言ってユナンは私の頭を撫で始めた。

ユナンの魔力が体内に入っていく感覚。ピイピイとルフが鳴き始めた。

他人の魔力が入ってきてるのに不思議と心は落ち着いていき、不愉快な声も言葉も徐々に消えていった。

「……。」

「あんなに苦しんでいたなら、僕を頼ってほしかったな。」

ユナンはそう言って笑った。

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作者名:緑茶餅と碧色 x他1人 | 作成日時:2017年7月17日 20時

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