26(碧色) ページ1
夜、案の定シオンの寝床にはユナンが来ていた。
「いやん!夜に女の子の!しかも可愛い女の子の部屋に上がり込むなんてっ!えっち!変態!」と必死の抵抗をしてみたがそれもほとんど意味はなかった。
「今日の昼、僕は見てたからね。しっかり説明してもらいたいんだ。」
あの後をつけられているような気配はユナンのものだったのか。
「過去はどうあれハッピーエンドなんだからいいじゃん!知る必要ないじゃん!」
「そうだと……いいんだけどね……。」
「……?」
含みのある言い方をするユナンをシオンは訝しげに見た。
この人はいったい何を知ってるんだ。
「まあいいや、隠す理由はその実ないし。ほかの人にはナイショって約束してくれるなら話すよ!」
「うん、約束」
「約束をやぶったら…」
「殺す、でしょ?」
シオンは満足そうに笑った
相変わらず穏やかな空気が流れている。
「実は私とクレアは小さな村で生まれたの。小さいけれど豊かな村で、みんながみんな優しくて助け合ってる村。そんな村の魔法学者が産んだのが私。魔法学者と仲良しの、魔導師である村娘が生んだのがクレア。私達はほぼ同時に生まれたからすごく仲良しなの。」
ユナンは黙って聴いてくれていた。シオンは一呼吸置いてからそのまま話を続ける。
「ある日……私が3歳くらいの頃だったかな。あの女が村に転がり込んできたの。村のみんなったら優しいから、その人のことなんも疑わずに受け入れたんだよ。でもその人は明らかに不自然だった。"遭難した。身寄りがない。"と言っているのに服はとても綺麗で豪華な装飾まで付いてて……」
「不自然だって思ってた、でも何も言わなかった。美人さんがきたってみんな喜んでたから水をさしたくなかったの。」
「でもその女が来てからみんなおかしくなっちゃった。私とクレアのお母さんは気づいてたんだね、2人でその女を村から追い出そうとした……。私はそれにこっそりついて行ったんだ。そしたらその先で、お母さん達はあの女の魔法道具で殺された。ホープが壊したあの魔法道具で体を劣化させられて、重力に潰されて死んだの。私怖くなっちゃったんだよね。その場で殺すこともできたのに、私は逃げ出したの」
「んで、色々あって私の体もものすごく脆くされて。最近あの人、クレアを売ろうとしているってのを知って、クレアを連れて逃げてきたんだ。今日は贖罪のつもりで、街のみんなを不当に外道に落したあの女への戒めとし!あの人を殺したの。」
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:緑茶餅と碧色 x他1人 | 作成日時:2017年7月17日 20時