【中島敦】愛しい君の過去へ【文スト】 (ページ6)

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伍～沸き上がる怒り～ページ6

カンカンカンカン！

友達が成立して、敦は嬉しそうにしていたので、私も一安心した。

しかし、直ぐにまた壁がたち塞がる。

『飯だ！！飯！！！』

…誰だろうか。大人が雑に大声をあげている。

？何だろう、これは。

すると敦は何かを察して、またしゅん、としぼんだ。

敦「ぁ…ご飯、だね…」

ご飯？いいタイミング。嬉しいことだな。

…ていうか、今更だけど、ここ何処？

「ご飯？今叫んでる人って誰？というか此処何処？」

すると、え、と声を漏らして私を見た。

敦「…孤児院でしょ？…これは夜食の時間の号令……何で知らないの？」

「いや、私、気付いたらここにいて…」

更に顔をしかめる。

敦「どういうこと？」

「え、私も分かんない。」

二人とも意味分かんないとお互い顔に書いてある。

首を二人仲良くかしげる。

孤児院？

…あんまり聞いたことないけどなぁ。

しかし何故私はここに居るんだろう？

…でもまぁ夢だし、どうでもいいか。

それよりご飯って聞いたらお腹空いた。

「…ご飯って、どうするの？」

敦「集まって食べるんだよ。それも分かんないなんて……。早くいこ。“また殴られちゃう”…」

「待って、殴られる……？」

敦「？うん。悪い子は、めっ！って、なぐられるから」

早くしないと、と立ち上がろうとしている。

…信じられない。

まさか、殴るなんて。大人が子供を殴るなんて、そんなことある？

いや、ない。

あ、だから敦は最初、いたいって泣いてたのか。

…ボロボロだし、子供に手加えるし、大人は論外だし、なんなんだこの孤児院。

いっ、と声をあげる敦に目をやると、敦は足を擦り痛そうにしている。

「…どうしたの？」

敦「えんちょうさんにトンカチで殴られたから、痛くて立てない」

「いやまて、それ殴られるレベルじゃないし」

トンカチで殴るなんて、なんと物騒な孤児院なんだ。こりゃまた驚いた。

確かに、足は青紫色で、グロイ痣となっていた。

…その瞬間、この孤児院にいる大人たちに、怒りを覚えた。

「…なにそれ…そんなの、可笑しいよ！！一発殴ってやる。そんな大人！！」

敦「え！？Aちゃん！？」

「敦！私の背中に乗って。おんぶしてあげる」

でも、と渋る敦に殺気で追い討ちをかければ、渋々というように背中に乗る。

…軽い。

…まさか、食べ物も全然食べさせてくれてない？

「…有り得ない。」

私は敦をおぶりながら廊下に出た。