【中島敦】愛しい君の過去へ【文スト】 (ページ12)

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拾壱～穀潰し？～ページ12

？「ふふふ、新入りさんだったよね！」

「え、と…あなたは…」

？「私は花っていうの！とりあえずついてきて！」

待っての制止も聞かずに、彼女は私の手を引っ張って走る。

そういえば、私の友達にも花って子いるわー…

結構似てるし。

…まさかねぇ…

とことことついていくと、きっと彼女の部屋やなのだろうか、どこか個室についた。

中はもう、女の子らしくあるわけないのだが。

たしかにいいかおりはする。

花「焦ったよー、急に部屋から出してとか聞こえるんだもの。」

「えっと…あ、ありがとう…」

花「なんてことないよ！」

すわすわと笑う彼女は、確かに名の通り花って感じがする。気がする。

…さて、出してもらったはいいが、この後どうしようか。

…聞きたいことが沢山あるから、聞いてみようか？

「あのさ、私ここのことなんもわかんなくって。」

花「いいよ！なんでもきいて！でも、そのかわり…」

もじもじとしている彼女は、蚊の鳴くような声で友達になって、と言った。

どうでもいいと思ってたし、友達なんて軽いもんだから、軽くあしらっていいよと、了承しといた。

「えっとさ、あのー…私のいた部屋って…」

花「彼処は悪い子が入れられる部屋だよ。まぁ、軽い罪人のだけど。…何したの？」

なるほど、まぁ納得。

「でも、重い罪人って、何処に入れられるの？」

花「え？牢屋！地下の牢屋だよ！まぁ、彼処に入る子って決まってるけど」

「どういうこと？」

花「あの、穀潰しくんって子？えっと…」

「もしかして、敦！？」

花「え！？う、うん…。」

なんで？穀潰しって…

聞いたことはない。でも、穀っていうのは、まぁ、

野菜？みたいなご飯みたいなのイメージするとなると…。

敦は逆に、ご飯をしっかりとれているというイメージはないし、そんな暴れん坊のようなイメージもない。

はて？

花「私もよくわかってないけど、大人達が畑で野菜が全くとれないって言ってたから、多分その子がなにかしたんじゃないかな…」

「そんなことするわけないよ！！」

なんで、なんで…

怯む花ちゃんに気づくはずもなく、私は１人悩んでいた。