検索窓
今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:24,798 hit

第十五章『向き合うことの覚悟』【1】 ページ34

「うん・・・なんか・・・違ったかな・・・」

「そうね・・・・・・ごめんなさい、クロ・・・・・・」

 痛くはね―――――けど音が・・・と球の中でぐったりと蹲ってしまったクロに真昼と瑠璃は眉を下げながら詫びると。

「真昼のアニキと瑠璃でも壊せねぇなんて・・・」

 鉄が何か思うところがあるかのような台詞を口にしたのだが―――――。

「おい鉄。お前、結構適当に言ってねぇ?」

 そんな鉄に対して真昼は思わず半眼で突っ込みを入れてしまう。

 何故なら鉄は『頭脳派』ではなく『体力派』の人間だからだ。

 瑠璃は苦笑を浮かべながら縁側に腰を下ろすと黒い球を膝の上に置く。

 と―――――

 温泉宿の主人である鉄の父親が通路の向こう側から顔を覗かせて、

「鉄。お前達にお客さんだよ」

「あっ、来た!?」

 外国の方、と付け足された言葉にすぐさま反応をしたのは真昼だった。

 御園との話を終えた後、真昼が再度クランツに連絡を取って、拠点を構えているこの白ノ湯温泉に来て欲しいと頼んだのだ。

 そして瑠璃は鉄の父親に対して「知らせて下さって有難うございます」と礼を述べると、真昼とともにクランツの元に向かい。

 拠点として構えている部屋にまた全員で集まった処で、クランツとそれからともに来ていたギルデンスターンに、リヒトとロウレスが今現在どういう状況になっているのかを話すと―――――。

「リヒトがさらわれた・・・?」

 クランツは生気の抜けたような状態になってしまい。

「そうか・・・敵の吸血鬼に・・・」

 そのまま、ふらっと後ろに倒れそうになったクランツの身体を、ギルデンスターンが後ろに回ると支えていて。

「すっ・・・すみません!! 俺・・・助けに行ったのになにもできなくて。リヒトさんは俺のこと庇ってくれて・・・っ」

 そこでクランツに向かって、謝罪の言葉とともに頭を下げたのが真昼だった。

 けれどあの時、あの場所に居たのは真昼だけではないのだ。

 瑠璃もまた深々と頭を下げると言葉を紡ぎ出す。

第十五章『向き合うことの覚悟』【1】→←第十五章『向き合うことの覚悟』【1】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
53人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年4月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。