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第十五章『向き合うことの覚悟』【1】 ページ35

「真昼君だけが悪い訳じゃないんです!! 私も真昼君の後を追いかけて、あの場に行ったのに。結局私もリヒト君だけに戦わせてしまって・・・・・・連れて行かれるのを止めることが出来なくて・・・・・・」

 クランツがリヒトに向けていたあの情熱を思えば、どれだけ罵詈雑言を浴びせられたとしても仕方がない。そんな覚悟を瑠璃は心の中でしたのだが―――――。

「いや。リヒトが君たちを庇ったというなら、せめて君たちが無事でよかったよ・・・」

 しかし、向けられたのは、憎悪ではなく、燐敏に満ちた言葉で。

  真昼と瑠璃が呆然とした面持ちで顔を上げると、

「しかし・・・ロウレスの奴あっさり攫われたな。調子に乗ってるからこういうことになるんだ・・・」

 ロウレスもかなり強いはずなんだが・・・と、クランツはロウレスに対してだけは呆れたように眉を顰めていて。

「椿ってのは相当強い吸血鬼なんだな。まぁでも・・・いっそのこと! あの厄介な二人を大人しくさせる方法を椿とやらに聞きたいくらいだね!」

 その後に、ポジティブに行こう! はっはっはっ、いっそね! ああ、何もかもなつかしい! と笑い始めたのだが。

 しかし、その様子はどう見てもクランツが精神的に相当参っているというのは明らかで。

「クランツさん、落ち着いて!」

「リ・・・リヒト君達は私達が絶対、助けますから・・・!」

 そんなクランツの姿に、真昼と瑠璃は申し訳ないという想いを抱きつつも、強い口調でそう明言すると。

 そこで腕組みをしながら静観をしていた御園から改めてクランツたちも加えて『強欲組』を奪還する為の作戦会議を始めようと提議されたのだ。





 卓袱台の上にロウレスとリヒトの姿が映し出されたスマホが二台―――――それはクランツとギルデンスターンから、御園と鉄が二人の顔を認識する為に提供されたモノだった。

「今回は二人の救出が最優先だ。できるだけ戦闘は避けて・・・今日の深夜24時までに必ず奪還する!」

 作戦参謀である御園の右側に真昼とクランツ。左側に瑠璃と鉄。そして斜め後ろにギルデンスターン。蝶と蝙蝠はそれぞれの主人の頭の上に乗った状態で、卓袱台を囲んで作戦会議が展開される事となり。着ぐるみ姿ではあるものの、下位吸血鬼(サブクラス)であるギルデンスターンが要戦力になるという証言をクランツから得た処で。

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年4月25日 21時

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