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冷side
「引き取り?」
久「うん。演練で戦ったブラック審神者の刀剣でアベルが負かした六振なんだけどね?」
ウチには未だ居ないし、良いんじゃ無いか?あれ?でも…。
「他の刀剣は…?」
久「刀解を選んだみたい。…冷?」
刀解…。
「そうか。…彼等は、還れたのか。」
いいなぁ、いいなぁ。
「龍兄…銀姉…。中原さん…尾崎さん…鏡花…。」
会いたい、なぁ…。
久「…思えば、首領にも随分お世話になったよね。」
確かに。嫌な人だけど、ポートマフィアという帰る場所を与えてくれたのは彼の人だった。
「お礼、言っておけば良かったかな…。」
太宰さんにも、結構お世話になった。坂口さん、広津さん、道造くん、樋口さん…。
「そういえば道造くん、猟犬の人だったんだね。」
夢で、昔の記憶を見た。道造くんがギャングの話をしてくれた時の言葉は、灰色に染まって思い出せない。代わりに見えたのは、立原道造は猟犬の一員であるという赤い文字だけ。赤の真実は絶対の真実。
「気付いてたの?」
久「気付いてたよ。…真実と嘘の境界程判り易い物は無いからね。」
…気付いて、知らない振りをした。あの日々が嘘だと思いたくなかったから。
「道造くん、良い人だもんね。」
僕もそうだ。鏡花が光の世界に焦がれたのを知っていて知らない振りをした。
そうしないと、何時もと同じ日々が壊れてしまう様な気がしたから…。
久「ねぇ冷、僕は存外…あの日々を気に入っていたみたいだ。」
「僕も。…又戻りたいと思う程度には気に入っていたようだよ。」
先生が居なくなって、太宰さんが出て行って…。其れでも、僕達はあの組織が好きだったらしい。
「もう一度死んだら、戻れるのかな…。」
そんな突拍子も無い事を考えてしまう程に。
久「次も、一緒がいいね。」
久作が僕の手を握る。
「じゃあ、双子とか?」
久作と双子なら、きっと毎日が楽しい。
久「でも双子だったら結婚出来ないじゃん。」
…え?
「結婚って、あの?え…?」
久「気付いてなかったの?ぼく、冷の事そーゆー意味で好きだよ。アースの時言ったじゃん、愛していますって。」
顔に熱が集まる。久作が、僕の事を好き…?
久「冷は?」
僕は、久作が好きだ。でも其れは親愛とか、そういうので…。
本当に?
久作が逃げようって言ってくれた時、ドキドキしなかった?
久作が僕を止めてくれたとき、格好いいって思わなかった?
…其れが答えよ。
「好き、だよ。」
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作者名:マツリ | 作成日時:2019年3月24日 23時