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季節は巡って移ろう、蜜璃ちゃんと初めて出会った時のことが今では懐かしく思える。
ついでに言えば師範との関係も変わってはいない。
千寿郎くんが入れてくれていた暖かいお茶は何時しか涼やかな麦茶に変わっていた、葉も緑に染まり、縁側に座れば蒸し暑さとたまにそよぐ風が控えめに風鈴を鳴らしていた。
……私はまだ、呼吸が使えない。
「双葉」
「しはん」
あまりの暑さに縁側で横たわっていると、師範が隣に腰を下ろす。それに合わせて私も隣に並ぶように座った、師範は隊服の袖を捲りながら今日は暑いな、なんて笑った。
「暑いですねぇ」
「不安なのか?甘露寺の事が」
「…………はい、とっても」
今日の朝、蜜璃ちゃんは最終選別へと足を運んで行ってしまった、私にも一緒に来ないか?と誘ってくれたのだけど、私は怖くて足がすくんで行くに行けなかった、ヘタレだ。
「大丈夫だ、心配するな」
「……だって、蜜璃ちゃん、もしかしたら死んじゃうかもしれない、怪我していたらどうしよう、運悪く強い鬼と当たってたりしたら…っ」
「大丈夫だ!」
めそめそと涙を下を向きながら涙を流していたら、師範に頬を挟まれて無理やり顔を向かされた、目の前に師範の顔がドアップで映る。
「大丈夫だ」
優しい顔、ほっとする顔。その顔に私は弱い。
「じばんんんんやだやだやだー!蜜璃ちゃんに何かあったら私は、私は…!」
「よしよし、双葉は優しいな」
師範が私を抱き寄せて、腕の中に誘う、暑いのに、それでも師範の体温が心地よかった。
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透水 - え…物凄く好きなのですが、もう更新はされないのでしょうか? (7月24日 19時) (レス) @page28 id: e8fae7b723 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 面白かったです!もぅ、頬が緩みすぎて大変でした!更新待ってます!頑張ってください! (2021年10月30日 11時) (レス) @page28 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - すごく面白くて一気に読んでしまいました!お忙しいとは思いますが、続きがとっても気になるので更新待ってます!! (2021年6月22日 22時) (レス) id: ab54e64a65 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - とても面白いです!一気に読んでしまいました。これで完結なのでしょうか?今後の展開も気になるものです(*´・v・`) (2021年2月14日 2時) (レス) id: e5ea1593cf (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2021年1月30日 17時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玄米茶 | 作成日時:2020年10月29日 21時