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フィーリング クリーニング3/遊星 ページ6




突然 涙を流し始めた私に驚いたのだろう。
坂田さんは目を見開きあたふたとする。

そりゃ私も突然目の前で人が泣いたら驚くし
ほんと申し訳ない事してるのは分かるけど
止めたくても止められない涙は頬から顎へ流れ
雫になって廊下に水玉を作っていった。



「ごめんなさい……大丈夫、」


速い、速い
加速する鼓動は次第に
私の呼吸を荒くした。

はぁ、はぁ、っと肩を上下に揺らしながら
廊下にへ垂れ込む私の背中をゆっくり
大きな手で摩ってくれる。

そんな優しい彼の事
なにもしないまま諦められる…


会いたい気持ちと好きって気持ち
私は掃除している時みたいに
綺麗になんか出来ない。



そこに存在しなかった事なんか、出来ない。



だったら、少しの間だけ
私だけのヒミツにしたい。





______



ふぅ…

やっと落ち着いたのは
それからしばらくしてからだった。
その間1歩も動かず「大丈夫、大丈夫」と優しい声と大きな手が私を包み込んでくれていた。

辺りはすっかり暗く
一番星が夜色を背景にキラリと光る。

涙のせいだろう。
瞼がヒリヒリと痛み 瞳が乾燥していた。
赤い瞼を閉じると赤や青、黄の不思議な模様が浮かび不規則に動く その先に赤い彼


「坂田さんすみません……」

「ー・・え?」


なんの事と言いたげなその顔に「泣いてしまって」っと言うと
ふにゃりと笑って「大丈夫」と親指を立て 片目を閉じた。



なんかあったかと聞かれても
さっき泣いた原因が目の前にいる
坂田さんの事でなんて言えなくて口を噤む。




「ーー・・今日は、帰ります…ね、」



このまま同じ空間に居れば「 好 き 」と
口走ってしまいそうだった。
今は言う時じゃない。
そんな事したらこの先会えないのでは、
なんて考えながら廊下に落ちた冷えきった雑巾を洗いに行った。




「ねぇー」


駄々こねるような伸びっとした声が
私の耳に入ってきた。
絞る手を止めて振り返ると面白くなさそうな
顔をして唇を尖らせた坂田さんと目が合う。

振り返って数秒
坂田さんの口は尖ったまま
ピクリとも動かない。

その先の言葉が気になって私は首を傾げた。





「来週 ここ卒業式だから休みなんよ
Aちゃんも休みやろ……


どっか遊びに行こ」



お手伝いのお礼。と________




「ーーえ」


「近くやったらバレたら遊べれへんから
ちょっと遠くまで行くか〜
どっか行きたいとこある?」




さっきまで私が考えてた事を無視するように
坂田さんの中で話が進んでいった。

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怠惰少女(プロフ) - 続編おめでとうございます!皆さんの作品はどれも素晴らしく、1人1人の登場人物の感情が繊細に伝わりました。素敵な作品をありがとうございます (2017年3月14日 18時) (レス) id: 3b0ab35ee3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:歌い手恋文企画 x他2人
作成日時:2017年3月1日 19時

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