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夏の終わりの、打ち上げない花火。 ページ8

暇だ。


今日は、というか、今日も仕事は無い。


モトジロウは謎の薬品を混ぜている。
黒っぽい粉末。

たぶん爆薬ができるんだろう。


「……どしたの、僕の方じーっと見つめて?」


「何作ってるの……?」


「内緒。」


「人に言えないような何か……」


「そういうふうに解釈するのやめてよ。」


「どう解釈するかは自由……」


ゴーグルの奥の真黒な瞳が再び薬品に向けられた。


乳鉢で粉をよく混ぜ、綺麗な色紙に包む。


『一家殺人事件 少女による犯行か』

乱雑に置かれていた新聞の一面の大見出し。

暇つぶしに読もうかと思ったけど、小説と取扱説明書以外の活字は苦手。



「……こんなもんかな。」


モトジロウの声。


机の上には、細長いカラフルな物が何本かあった。


「なにこれ……」


「こっちが噴き出し花火で、こっちのは線香花火。夜になったら、火をつけてみよう。」


「打ち上げ花火は……?」


「ずっと前に作って打ち上げる機会に恵まれて無い奴がその辺に在った筈だけど……」


指さす先には、段ボール箱が10箱くらい積みあがっていた。

あの中から探してまで見たいものでもない。


「じゃあいい……」


ほんとに花火として使えるんだろうか。

モトジロウは爆弾作りが得意だし、このくらいはお茶の子さいさい?



〜午後9時、屋上にて〜


「……なんで首領とエリス嬢がいるんですか!」


「エリスちゃんについて来ただけだよ。」


「メアリーが『一緒に花火しよう』って誘ってくれたから!」


エリスちゃんを誘ったから、ボスも来るかなとは思ったけど……


「じゃあ、まずは此れから……」


適当に一本取って火を点ける。


「おお……すぎょい……」


先端から火花が噴き出し、赤、青、黄色と色が変わっていく。


「どうだい?僕の花火は。メアリーはイギリス出身って言ってたし、花火はあんまり見たこと無いかと思って。」


「科学の力ってすごい……」


「うははは!メアリーも科学の素晴らしさに気づいてくれた?」


「……思ってたよりしょぼい!もっとこう……ロケット花火とか、打ち上げ花火とかってないの?」


「首領が打ち上げ許可してくれたら作りますけど。」


「……エリスちゃんとメアリーちゃんが私の用意した浴衣を着てくれるのなら、許可してあげよう。」


「リンタロウって、いっつもそんな感じよね。」


「かわいい女の子に弱い……」


エリスちゃんに教えてもらった……

百物語(怪談要素なし)→←メアリーとエリスのティーパーティー



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13 - メアリーさん(ちゃん?)可愛いです。きゅうーんてするです。かじーさん羨ましいのです。 (2016年10月22日 13時) (レス) id: 47ed984e80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キューブ | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年9月16日 19時

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