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カクテルを君に。 ページ27

ここはモトジロウの馴染みのバー。
モトジロウについて来てみたけど、お酒飲めないや……


「何飲んでるの……?」


私の隣に座っているモトジロウに聞いてみた。
彼の手に握られたグラスの中には、真っ赤なお酒が注がれ、櫛形の檸檬が飾られていた。


「これかい?」


「うん……」


「これは『ブラッディメアリー』っていうカクテル。メアリーには未だ早いよ」


いつものように笑って、グラスを口元に運ぶモトジロウ。


「私と同じ名前のカクテル……?」


「そういえばそうだね」


「何で……『血まみれ(ブラッディ)』なの……?」


「うーん……確か、プロテスタントを殺しまくったメアリー一世に因むとか……」


「……なんかやなかんじ……」


「うははっ、そうだね。でもさ、僕らにピッタリだと思わないかい?」


「……」


モトジロウは虐殺者として名を残せそうだし、ピッタリかも……
でも、私は一寸微妙かな……


「そうだ、君でも飲めるカクテルがあるよ」


「何……?」


私がぼんやりモトジロウを見ている間に、彼はバーテンダーさんに何か注文した。
暫くして、私の前にグラスが置かれた。モトジロウのとおんなじ、真っ赤な飲み物。


「どういうやつなの……?」


「まあ飲んでみてよ!」


云われるがままに、グラスに口を付ける。


「……とめぃとぅ……ふれーばー……」


口の中一杯に広がるトマト味。


「それは『ヴァージンメアリー』。ブラッディメアリーはウォッカとトマトジュースで作るんだけど、此れはウォッカが入ってないんだ」


「それって……只のトマトジュース……」


私がそう云うと、彼は悪戯っぽく笑って、何か呟いた。


「『処女の(ヴァージン)メアリー』……やっぱり、君にはこっちが似合う」


グラス片手に遠くを見つめるモトジロウは、彼には珍しく年相応の大人っぽさがあった。

ぼくのたからもの→←Your smile is a pearl!!



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13 - メアリーさん(ちゃん?)可愛いです。きゅうーんてするです。かじーさん羨ましいのです。 (2016年10月22日 13時) (レス) id: 47ed984e80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キューブ | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年9月16日 19時

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