32錠目:『視覚、聴覚』 ページ31
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｢あの、検査入院してる佐曽塚瑛士の面会希望なのですが......｣
｢患者様とはどういったご関係で?｣
｢えーっ...と、中学からの友人、です｣
｢あぁ、鳳城様ですね｣
｢(...認知されてる?)｣
正午過ぎ、眠い目を擦って大病院へと足を運んだ。
折緒との一悶着は何とか心の底に鎮め、成龍と彼の上司である鬼道さんの勤める病院へ足を運んだ。
受付の人は席を外すと奥の部屋へ向かい、面会手続きの処理をした後、面会許可のプレートを手渡し、佐曽塚の病室へと案内した。
｢それではこちらを持って、帰りにまたここへ寄って下さい｣
院内の壁や天井は小児病棟も併設されている為か、緊張を連想させる真白ではなく、パステルピンクやパステルグリーン、ベージュやブラウンを使って暖かみのある色になっていた。
病室の番号を確認し、軽くノックを繰り返した。
｢佐曽塚〜......?｣
一人部屋にしてはあまりにも広すぎるそこに、窓の外の青空を見つめる彼の後ろ姿があった。
私の呼び掛けに対して、ゆっくりとこちらに顔を向けた彼の顔色はだいぶ良くなったような気がする。
｢A〜!! みてみて〜点滴。おれ、血管細いんだって｣
｢...そっか、元気そうで良かった｣
｢Aが来てくれたからね〜｣
彼はふわりと笑いながらベッド脇に座る私の手を取って優しく握り、静かに呼吸を繰り返し、穏やかな時間が流れる。
暫くして、病室のドアが開いた。
｢鬼道さん、お久しぶりです｣
｢鳳城も元気そうでなによりだ｣
隣には研修医兼助手として成龍が立っていた。
｢脈拍や血圧も基準値内に下がったようだな｣
｢朝食も完食したようです｣
2人は佐曽塚のカルテらしきものを確認しながら、目の前にいる彼の顔色や挙動をさりげなく観察している。
星章の頃の話を敢えて避けつつ他愛もない会話を続け、私だけ別室へと誘導され部屋を去る。
｢え〜、行っちゃうの〜......?｣
席を外す際に名残惜しそうに私の手を強く握る佐曽塚には不安分離症の傾向がみられるように感じた。
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｢あぁ、その通りだ｣
｢やっぱり......｣
案内された個室には、佐曽塚の精密検査の結果が詳しく記された資料やレントゲン写真をシャウカステンが映し出す。
｢ストレス性の胃潰瘍、喘息、食欲不振、うつ病。鳳城の推測通り、1人になることへの恐怖による分離不安症｣
｢そんなに......｣
彼をそこまで追い詰めたあの会社に果てしない憎しみを覚えつつ、鬼道さんの話を落ち着いて整理する。
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33錠目:『容量・用法お守り下さい』→←31錠目:『折緒冬輝という男』
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星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月8日 11時) (
レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - ゆりりんさん» わ〜!! 勢いある挨拶ありがとうございます〜^^ ちまちま更新していきますので気長にお待ち頂けると幸いです (2021年2月2日 1時) (レス) id: f96d68692e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - まず最初に…好き!!（挨拶）続きが読みたくてたまらないです！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 棘水さん» 了解です！また何かあったら声掛けますんで、これからも更新頑張って下さい！！ (2019年4月9日 15時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!! が、合作イベント....!!大変魅力的で参加したい気持ちは山々なのですが私生活の多忙や内容が合作内容が全く分からず他の皆様にご迷惑をかける可能性しかないので今回は辞退させて頂きたく思います....また機会がありましたら是非....!! (2019年4月8日 22時) (レス) id: c7cb6e701d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棘水 | 作成日時：2018年7月20日 13時
