今日もカノジョは世界一可愛い！2【Raul】 (ページ4)

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45話ページ4

1限は数学の時間。
私たちのクラスは理系クラスと思えないほどの睡眠率を誇っている。
『寝ているやつは自己責任』が口癖のおじいちゃん先生は特に指導することもなく授業は静かに進められていた。

ポロッ

「あ」

どうしよう、消しゴム落としちゃった。
しかも村上くんの机の下に行ったみたい。

授業終わってからこっそり拾えば良いか。
‥‥‥‥でも問題解いてる間消しゴムないの辛いなぁ。
消しゴムがついてるシャーペンを探したけど1本も見当たらなかった。

私の席からはどのあたりにあるのか見えないし、これは村上くんに言うしかないのかな‥‥‥‥？

隣の村上くんをチラッと見てみる。

村上くんは寝ることもなくまっすぐ黒板を見て板書していた。通った鼻筋と影を落とすまつ毛のシルエットが綺麗だな、なんて気持ち悪いことを考えてしまった。

そういえば定期テストもクラス順位の3位以内にはいつも入っている気がするし、いつも真面目に授業は受けるタイプなんだろうか。

ダメだ。消しゴムがない限りこんなどうでも良いことばかり考えてしまう。早く言ってしまおう‥‥‥‥よし！！

意を決して声をかけようとしたそのとき、村上くんが大きな背を小さく屈めて机の下に潜っていった。あれ？

そのままゴソゴソとしていると起き上がった村上くんの手には私の消しゴムが。
その消しゴムについた埃を軽く払ってから

「‥‥‥はい」

と私の机の上に置いてくれた。

そのまま正面を向いてしまったからお礼を言うタイミングを完全に逃してしまって。
見ているか分からないけど村上くんの方へ一礼して私も正面へ向き直った。

良かった‥‥‥‥‥男の人に触れるのも苦手だから机の上に置いてくれてとても助かった。

朝に挨拶をしてくれたり、消しゴムを拾ってくれたり。
すごく嫌いな人間に対してはそんなことしないよね‥‥？

村上くんという人間がいよいよ分からなくなりそう。

でも、結局村上くんと話したのは朝の挨拶と消しゴムを拾ってくれた時の2回だけ。

それ以外では全く話さないまま、あっという間に帰りのSHRを迎えた。