44話 ページ3
教室にはすでにクラスメイトが何人かいて、いつも挨拶をしてくれる。それにちゃんと返すことはできなかったのだけど、最近は短く応えられるようになってきた。
‥‥‥‥目を見なければの話だけど。
席に着いたけど、まだHRまで時間はある。
特にやることもないし雑談するような友達もいない。
暇だから授業の予習でもしておこうかな?
悲しいかな、この積み重ねで成績はどんどん上がっていった。喜んで良いのやら‥‥‥。
今日の1限は、数学か。
昨日予習したところで分からなかった問題があったんだよなぁ、どこだっけ。
確か、60‥‥‥2‥‥3‥‥4‥‥‥
その時女の子たちの話し声がだんだん近づいてきて、少し廊下が騒がしくなる気配がした。
しばらくして教室のドアが開く音がして挨拶を交わすクラスメイトの声が聞こえる。
「おはよう」
「‥‥‥‥‥おはよう、Aさん」
自分の名前が突然聞こえて、隣を見たら村上くんが立っていた。
今、私に挨拶してたのかな。
村上くんを見ても一向に目が逸らされないので恐る恐る「‥‥おはよう」と返す。
すると村上くんの肩が少し下がったように見えたからもしかして緊張させてしまっていたのかな?と少し思った。
そのまま村上くんが鞄を机の脇にかけて自分の席に着くと後ろから他の生徒の声が。
「おい〜ラウールが真ん中の席来たら後ろの俺ら黒板見えねぇって〜」
「俺の席と交換してやろうか!」
村上くんより後ろの席の男子2人が次々に声をかけ始めた。それに対して村上くんがすかさず
「嫌だよ。俺一番後ろじゃ見えないもん」
「え、ラウール目悪いの?俺の席と代わるよ?」
今度は一番前の席の人が後ろを振り返ってそう言い始めた。なんだろう‥‥‥真ん中の席ってそんなに人気なのかな。
「〜〜っ、嫌だ!!俺はここが良いんだよ!」
‥‥‥‥やっぱり人気なんだこの席。
村上くんがこんなに言い張るくらいだもん。
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作者名:Haniko | 作成日時:2022年11月23日 11時