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親睦会を開いたお店から私の住むマンションの周辺まで、一駅しか離れていなかった。
主任はその道のりを私の歩く速さに合わせて、ゆっくり歩いてくれた。
――やがて見えてくるマンションのエントランス。
SJ「じゃあ、僕はここで……。」
入り口まで来ると主任が足を止めた。
A「ありがとうございました。じゃ…おやすみなさい…。」
このまま帰っても、いいのかな…。
でも、部屋に上げたとして、私はどうするつもりなんだろう。
主任は下心がないのかな?
男の人って、送り狼になるって聞いたことがあるような無いような。
だとしたら、ホントに送り届けるだけのためにここまで来たってこと?
あ、だったらもっと早くにそうなってるか…。
え……何で急にそんなこと考えてるの?
今までそんなこと頭をよぎった事すらないじゃない…。
酔いが邪魔してふわふわした気持ちを整理できずにいると、
SJ「Aちゃん?……帰らないの?」
心配そうにわたしの顔を覗き込んだ。
A「あ……はい……帰ります。」
SJ「…ホントはお邪魔したかったんだけどね、
さすがにきちんと返事がもらえてないのに、それはAちゃんに失礼かなって……。」
私のモヤモヤした気持ちを察したのか、たまたまなのか、主任は照れたようにそう言った。
SJ「……でも、少しでもあいつより先に進んでいたいから……」
ソクジン主任は私の頬に触れると顔を近づけてきた。
目を伏せるとゆっくり顔を傾ける…。
反対の頬にそっと唇が触れた。
SJ「今日はお疲れ様。おやすみ……Aちゃん。」
ゆっくりと主任が後退りしながら離れた。
そのまま私が乗るエレベーターのドアが閉まるまで、ずっと見守るように佇んでいた。
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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年5月6日 22時