〜伴侶〜 1 ページ31
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今年も懲りずに冬の恒例イベント、クリスマスがやって来た。
クリスチャンもそうでない奴も、クリスマスを経済を回すほどの盛大なイベントにして楽しむようになった昨今。
街は先月末からそんな浮かれた空気に盛り上がっていた。
「社長、この後のご予定は分かってらっしゃいますよね?」
「ん。何だっけ?」
「社員とのクリスマスパーティーです!」
「あー……だっけ」
今日は所謂クリスマス・イブ。
わが社にも空気感染のようにその浮かれた雰囲気が伝播し、あれよあれよとパーティーを開催する話が持ち上がり、皆、クリスマス当日は恋人や家族と過ごすつもりなのだろうと思っていた俺は、
「どーぞご勝手に」
と社員共に任せっきりにしていたら、どう転んだのか俺が出資者となってクリスマスパーティーが行われる事となり、気づいた時には見事にその奔流の中心に巻き込まれてしまっていた。
「……金は出すけど顔は出さ」
「出さないなんて言いませんよね?何せ出資者様なんですから?」
張り付けた笑みの瞳の奥で俺を睨む我が秘書様。
どうやら強制参加は免れないらしい。
「はぁ……分かったよ。出るよ、出りゃいいんだろ?はいはい出まーす!」
俺は諦めムードで、秘書様にクリスマスパーティーの会場へ引きずられて行った。
*
会場入りして軽く呆れた。
確かに?たまには社員とのコミュニケーション図るべきだって秘書様に言われたよ?
俺だってそうなのかもなって考えて今回のどんちゃん騒ぎ許可したよ?
でもさ……?
オフィスのミーティングルームには、いつ持ち込まれたのか知らないクリスマスツリーがテカテカ輝くオーナメントで豪華に飾りつけられ、どこから集めたんだって程のオードブルやチキン、そしてクリスマスケーキがテーブルに配されていた。
飯の匂いと共に結構な酒の匂いも感じる。
「おおー!やっと社長のお出ましだ!」
「しゃちょ〜!飲みましょお〜!」
「お先にやってまーす!」
案の定、既にシャンパンや焼酎やワインが空けられ、さっさと出来上がっていた浮かれ調子の従業員たち。
この状況ならさぁ……俺、要らないんじゃね?
「はい、社長は上座に座ってください」
何かの添え物の様に近くにいた従業員に着席させられ、俺は内心帰りたい気分でいっぱいだった。
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時