〜遭逢〜 9 ページ10
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近くにあった申し訳程度の壁掛けの鏡に映った自分の顔をよく見てみると、言われた通り瞳の色が紅くなっていた。
これは俺達の特性の色。
普段ならコントロールできていて紅くならないはずなのに。
あいつらフッ飛ばした時は確かに紅くなってたとは思うけど。
今の多少落ち着いた状態で、という事は。
そうか、そういうことか。
「これは俺の本性の色」
「本性の、色?本性って何ですか?」
その紅いままの瞳で女を見つめる。
俺を見つめ返す目に恐れがなかった。
何故かその目には隠し通せないと感じた。
隠せないなら、敢えて曝す。
ソファから立ち上がり、ゆっくり女に近づく。
「お前がもし、これ以上を知ったら、お前は生涯隠し通さなくてはならなくなる」
「えっ……」
女はじりじりと後退り続け、ベッドに退路を絶たれた。
ペタンとベッドに腰を引き込まれた女を、逃がさないように女の正面から両手をベッドに突き、その距離を一気に詰める。
「もしも誰かに話してしまったら──」
すぐにでも噛みつける距離。
何ならこのまま雪崩れ込める程の近さ。
その距離を更にじりじりと近づけると、堪らず女が仰向けに倒れた。
「あっ!」
後に続いて女の上に覆い被さる。
女は視線を逸らさない。
俺もそのまま視線を逸らさない。
女を見下ろしたまま言葉を続けた。
「その時は、俺はお前を喰い殺す」
「……それでも知りたいか?」
「俺のこの瞳の秘密を──知りたいか?」
これが、あいつ……Aとの出会いと、俺の正体が知られたきっかけ。
〜遭逢〜
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時