〜運命〜 １ ページ11
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彼女の家は決して裕福とは言えなかった。
父親を幼少時代に病で亡くし、母親も数年前に他界し身寄りのない彼女は、父親が遺してくれたという小さな家の狭い庭一面にさまざまなハーブを地植えして栽培し、乾燥させて匂袋やハーブティを作り、いくつかの雑貨屋に卸して日銭を稼ぐ生活を送っている。
俺は金に困ったことはないが、金を稼ぐ苦労は分からないではない。
会社を立ち上げた当初の苦労と似ている気がしたからだ。
それでも俺の場合は俺等の長の支援を受け、彼の渡航経験を活かして契約先と販路を広げたから、間もなくその苦労から解放されることになったわけだが。
商いの苦労は分からないではないが、それが生活と直結しているとなると、その経験をしたことのない俺では、彼女の日々の苦労を推し量ることはできなかった。
「どうぞ、狭いところですけど」
「……お邪魔します」
簡素なキッチンに接するように並ぶ狭い部屋が二つ。
奥にある部屋が彼女の寝室なんだろう、ドアが閉められていても彼女の匂いが一番強く感じられる。
もう一つは作業場も兼ねたリビングらしく、乾燥したハーブが詰まった箱や、瓶詰めのハーブが並ぶいくつかの戸棚が置かれていた。
二階があるらしいが、まだ処分しきれない両親の物を置いているだけで使っていないらしい。
「独りで住むには広すぎるから」
そう言うとAは、カモミールのハーブティを俺に振る舞ってくれた。
「ありがとう」
優しい香りのするカモミールティだ。
「何でハーブの栽培を？」
「私、子供の頃から身体が弱くて。母が私の為に野草を色々調べて、身体を丈夫にするものを探してたんです。その関係で私もハーブに興味をもって、それで」
「……そうか」
俺が感じた気になる何かはそれだったのか。
生まれながらの虚弱体質。美人薄命ってやつか。
母親の努力の甲斐あって、具合は悪くなることはあっても、大きな病に至ることはなかったらしい。
それでも人より疲れやすく、風邪をひけば長引くこともしばしばなのだそうだ。
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます！ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです！あぁっ！心臓大丈夫ですかっ？！男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです！ (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます！ ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが！ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と！ (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです！！ (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年6月5日 21時
