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〜伴侶〜 4 ページ34

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「例えAと出会ってなくても、俺はお前を選べない」
「……っ」
「冷たい言い方だか、お前は俺の“食事”相手以上にはならなかった」


“食事”相手は俺の夜の相手になりうる相手。そしてそれ以上にもなりうる存在。
スヨンの血の中に確かに俺に向けられた『力』を感じていた。


「その証拠に俺は……スヨニを一度も抱いたことねぇだろ?」


それでも俺はスヨンを抱かなかった。

決して魅力がなかったからじゃない。味が好みじゃなかったわけでもない。
ただ、俺が強い運命を感じなかっただけ。


残酷かもしれないが、ただそれだけのこと。




「……ぐすっ……」

ゆっくりと離れたスヨンの手。


「お前にも惚れてくれる男が出来たんだろ?」
「どうしてそれを……」
「俺が鼻が利く事、忘れたわけじゃねぇだろ?
 もう暫く前から気づいてたよ。ちゃんと一途に、お前だけを見てくれる男が出来た事くらい」
「……だから近頃“食事”に呼んでくれないのね」

当たり前だろ。
俺なんかよりずっと気立ての良さそうな匂いの男が近くにいるのに、俺との関係を続けられないだろ。

やっぱりユンギさんには隠せないわね。スヨンは寂しげに口を開いた。


「……結婚するの。半年後を目処に」
「そっか。よかったな」


スヨンはずっと迷っていた。

俺の“食事”相手と言う立場に甘んじて、いつか振り向くかも知れないという淡い期待に時間を費やすか、今いる自分を好いてくれる男に残りの人生を捧げるか。


「結婚が決まったんなら、俺を捨てろ」
「え……」


俺のせいで無駄に人生を過ごさせるくらいなら、解放してやらなきゃな。


「もうお前を縛り付けたりはしねぇ。
 だから、“食事”相手としてしか見てなかった俺の事なんて、さっさと見限っちまえ」
「でも私は」
「その方がお前は幸せになれる。
 幸せになって、その幸せを嫌って程俺に見せつけて、俺を後悔させてみろ」
「ユンギ……さん」
「ただし、結婚したからってこの会社をそう簡単に辞められると思うなよ?」
「……っ」

俺を見つめる、眼鏡の向こうの瞳は少しの驚きに揺れている。

「お前の秘書としての腕を高く買ってるんだ。
 何がなんでも他所には渡せねぇからそのつもりでいろよ?『秘書様』?」
「…………馬鹿ね、貴方を堂々と叱り飛ばせるのは私だけでしょ?『社長』?」


デスクのスタンドの明かりに照らし出された俺の元・“食事”相手は、最後のひとしずくを頬に伝わせ笑っていた。

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作品ジャンル:恋愛
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時

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