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〜伴侶〜 5 ページ35

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見繕ってもらったオードブルとケーキを入れた箱を手に、Aの家までやって来た。

ドアをノックすると、パタパタ足音が聞こえやがて

「おかえり、ユンギ!」

子供のように屈託のない笑顔で俺を出迎えてくれる。


手に持っているものに気付き、小首をかしげたAに、浮かれた気分のお裾分け。とか言ってそれを手渡すと早速テーブルで広げ、

「わあ……!美味しそう!いい匂い!……わぁ!ケーキもあるの?」

嬉しそうな甘い香りを漂わせた。



その香りにラストが揺さぶられ気持ちが昂る。


家について早々、ご馳走に喜ぶAを抱きしめ、乱暴に唇を貪った。


奪うように息を吸い取り喰らうように舌を絡めとる。


時々Aの舌や唇を切り、滲む血を舐め、身体の奥から沸くような感覚にゾクゾクと震えた。



我を忘れかけたその時、弱々しく胸を叩く感覚に引き戻された。


「……っは、ユンギ……苦し……」
「はぁ……悪かった。ここ最近ヤバイんだ」


抱き合って息を整える俺達。腕の中のAはくたっとして俺に身を委ねている。



マジで食い尽くしそうだった。



この時期は特にこの衝動に耐えるのが難しい。


俺等が“あの時期”と呼んでいる冬が始まって最初の二ヶ月間は、俺達の生殖活動が活発になる時期。この超短期間のうちに子供を作るわけだ。


人間よりもはるかに繁殖期間の短い俺達にとって、子孫を残すということは最重要課題。
そのチャンスを逃すまいと、本能が優位に立ってしまうのだ。


そんな欲を、身体の弱いAに逢う度にぶつけてしまうと、いずれ彼女を壊しそうで近頃は躊躇していた。

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作品ジャンル:恋愛
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時

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